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『月の花』 アイナール・トゥルコウスキィ、(訳)鈴木 仁子

評価:
アイナール トゥルコウスキィ
河出書房新社
¥ 1,890
(2010-03-25)

たいそう古びた石の屋敷に、ひとり住む男。
広い庭は草花で埋め尽くされ満ち足りていた男だが、不思議なことに、つぼみのまま咲かない花に気がついた。
そこで男は、突拍子もないことを思いつく――

まっくら、奇妙にしずか』のアイナール・トゥルコウスキィさん、待望の新刊。
すみずみまで手抜かりなく描かれた、独特の精緻な精緻な鉛筆画にまたもや心うばわれてしまいました。
生け垣にぽっかりあいた漆黒のトンネルを抜けるとそこは、異次元にまぎれ込んだかのような夢幻の国。空をとぶ巨大な魚たち、カシャカシャとかすかな音をたてて動きそうな――脆弱なプロペラやぜんまいがくっついている――おもちゃみたいな昆虫や獣たち。こんな世界を描ける人は、トゥルコウスキィさんをおいてほかにない。

あの手この手をつくしても、咲く気配なく、じっと身をとざしたつぼみ。
大きな満月、プラタナスの葉かげ、宙を舞う蝶のりんぷんのような光の粒子。
そんな夜にふわあ・・っとやわらかにまぼろしの花が咲いて――・・・
しっとりと幻想的な月夜の残像がいつまでも消えない、美しすぎる大人の絵本です。

(原題『DIE MONDBLUME』)
Author: ことり
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