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『あかるい箱』 江國 香織、(絵)宇野 亜喜良

評価:
江國 香織,宇野 亜喜良
マガジンハウス
¥ 1,200
(2002-10)

ぜんたいにただようのは、危険な喪失感。
リリコさんの部屋では誰もが‘なにか’を待っているのでした。
彼らの姿はなにも待っていない人には見えません。そこは願いが叶った人には見えなくなってしまう、狂気の部屋――。
雪だるまとプリンのページ、お部屋の海でぷかぷか浮いてるページ、
ゼリーみたいにとじこめられたパーティのページ、
それから、からっぽのページ。

でも一番どきっとしたのは、リリコさんが樹の上で寝そべっているページ。
「この部屋の中だけ時間がとまってるのよ。
 だからおいてきぼりにされちゃうの。
 待つというのはそういうことなのよ」
待っているものが届かないかぎり、もうどこへももどれない。
  どこへももどれない。
    どこへももどれない。
      どこへももどれない。

かならず手にできると思って待つなにか。かならず逢えると信じて待つ誰か。待つという行為は幸福なものだと思っていました。
おいてきぼりにされちゃうほど待っても待っても届かないものを、それでも待ち続ける彼らの棲むパラレルの空間は、しかし膨大な時間と淋しさにみちたものでした。
不思議な吸引力のある、おとなのための絵本です。


サイン本です↓
Author: ことり
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