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『貧乏サヴァラン』 森 茉莉

自称「貧乏なブリア・サヴァラン」であるマリアさんのごちそうは――、
ダイヤ氷、エヴァ・ミルクにグラニュウ糖を入れたもの、紅茶(リプトン)、戦前のウェファース、卵料理、薔薇と菫の砂糖菓子・・・。独特の審美眼によって選びぬかれた、魅惑の食べものたち。
まるで王女さまにご自慢のきらびやかな調度品を見せてもらっているみたいで、読んでいるとおなかがすく以前にうっとりとしてしまいました。
いっそ虚しいくらいに純粋で、怠惰なのに美しい。マリアさんの文章(哲学)そのものが、色とりどりの硝子罎から立ち上る香気、上等なお菓子のような味わいなのです。

だいたい贅沢というのは高価なものを持っていることではなくて、贅沢な精神を持っていることである。(中略)
要するに、不格好な蛍光灯の突っ立った庭に貧乏な心持で腰かけている少女より、安い新鮮な花をたくさん活けて楽しんでいる少女の方が、ほんとうの贅沢だということである。

彼女の愛してやまないこだわりの食卓が、美と人生に優雅につながるエッセイ集。
「ほんとうの贅沢」を知っている人、そんな女の人に、私もなれたなら。
Author: ことり
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