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『バラはバラの木に咲く―花と木をめぐる10の詞章』 坂本 公延

図書館でこの本のタイトルを見た時、頭にうかんだ詩があって、それはこういう詩。
薔薇ノ木ニ
薔薇ノ花咲ク。

ナニゴトノ不思議ナケレド。
北原白秋さんの『薔薇』です。
この詩が私は大好きで、本をひらいてみると一ばんさいしょに紹介されているのがこの詩だったので、なんだかとてもうれしくなって借りてきたわけなのでした。

バラの木からはじまって、桜の木、柳の木、樫の木、月桂樹、いちいの木、楡の木、葡萄の木、ポプラの木、そしてしめくくりは、林檎の木。古今東西の文学作品から、花や木にまつわるさまざまな詩やことば、文章が紹介されている一冊。
著者の坂本さんは大学教授で、日本はもちろん英米文学にも精通していて、万葉集やマザー・グースからの引用、西條八十、島崎藤村、リルケ、ワーズワース、A.A.ミルン、アルフレッド・テニスンなど幅広くえらばれ比較・考察されています。岸田衿子さんや茨木のり子さんの詩も登場します。
‘文学論’の要素がつよくて、私にはちょっぴり肩が凝ってしまう読み物ではあったのだけれど、これまで知らずにきてしまったすてきな詩にたくさん出逢えたこと、とてもシアワセです。

あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音空にながれ
をりふしに瞳をあげて
翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり (三好達治『甃のうへ』より)

こどもはいふ
赤い林檎のゆめをみたと
いいゆめをみたもんだな
ほんとにいい
いつまでも
わすれないがいいよ
大人になつてしまへば
もう二どと
そんないい夢は見られないんだ (山村暮鳥『おなじく(「赤い林檎」)』)
Author: ことり
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