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『真綿荘の住人たち』 島本 理生

評価:
島本 理生
文藝春秋
¥ 1,400
(2010-02-10)

東京・江古田のちょっとレトロな小さな下宿屋をめぐる連作短編集。
『青少年のための手引き』、『清潔な視線』、『シスター』、『海へむかう魚たち』、『押し入れの傍観者』、『真綿荘の恋人』。真綿荘には新参者の大和(やまと)君をはじめ、鯨ちゃん、椿さん、綿貫さん、晴雨(せう)さんの5人の住人がいて、彼らさまざまの人生模様をそれぞれの角度から描いていきます。

明るいお話のはずなのに、和気あいあいとした雰囲気はどちらかといえば少なくて、みんないびつで不器用で、ひとりひとりが小さくちぢこまって足掻いている・・・そんな暗い翳のようなぶぶんを強く感じながら読みました。
みんなぐらぐらとゆれていて、波紋どうしがぶつかって、それがまた新たなさざ波を立てる・・・やり場のない感情が傷だらけの思い出やゆがんだ愛を生んでいくことのちょっぴり不穏な連鎖。読んでいると、やさしさや純粋さのなかにある刃に気づいて、心がなんどもヒヤっとなりました。
あと、常識を超えた理屈や理解しがたい愛が持つややこしさのなかにも、どこか清潔感が感じられるのは、やはり島本さんの小説だからなのでしょうか。
Author: ことり
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