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『らいほうさんの場所』 東 直子

評価:
東 直子
文藝春秋
¥ 1,500
(2009-11-11)

インターネットの占いサイトで生計を立てている姉・シズ、市民センターで働くバツイチの妹・マナ、社会になじめず大人になりきれない弟・シュン――ひとつ屋根のした、ひっそりとよりそって暮らす中年の三姉弟の物語。

おだやかな顔をして、ひたひたと忍びよる狂気。はらってもはらってもまとわりついてくる不穏な気配に、苛立ちのようなやるせないような感覚がつのります。
彼らが暮らす家の庭には「らいほうさんの場所」とよばれる一角があり、美しい花が植えられ、清らかに保たれています。そのしたになにがあるのか・・・物語はうっすらといやな予感を匂わせ、けれどはっきりとはさせないままに進んでいくのです。
職業柄なにかにつけ迷信じみている姉に支配されているこの家は、とてもアンバランス。姉はいつも惑い、現実的な妹をたよりにし、弟を過度にあまやかします。
そしてそんなきわどいながらも穏やかな日々を脅かす、ノラ猫や気味の悪い母娘の存在・・・。唯一正常にみえていた妹までも、ゆるゆるとなまぬるくからめとられていくうすら怖さ・・・。

「いつかこのうちの庭にも入りこんで、うろうろ歩きまわって、アレをかぎつけて、掘り起こしたりしちゃうかもしれないじゃないの。そんなことになったら、どうなるか、あなたわかってるの!?」
アレってなんだろう。「らいほうさんの場所」にはなにが埋まっているんだろう・・・。
誰も侵すことのできない、彼らだけの聖域。彼らだけの秘密。
その謎につつまれた高潔な存在感が、いまも鳩尾のあたりにわだかまっています。
Author: ことり
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