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『マドゥモァゼル・ルウルウ』 ジィップ、(訳)森 茉莉

評価:
ジィップ
河出書房新社
¥ 2,730
(2009-12-25)

天衣無縫、そして奔放。森茉莉が愛してやまなかった14歳の貴族の少女、ルウルウが繰り広げる日常の大冒険!
薔薇十字社からの単行本刊行より三十余年、ついに待望の新装復刊。本文二色刷の豪華仕様。

ずっとずうっと昔、貴族たちがのびやかに暮らすフランス。
おませではねっかえりのおてんばお嬢さん、ルウルウの日常劇。
無邪気に家族や紳士たちをふりまわすルウルウがもうたまらなく魅力的で、かわいらしくて、好きにならずにはいられないのです・・・!
ほとんどが会話のみで展開する、これは戯曲なのですが、りすみたいにくるくる変わる表情や、身ぶり手ぶりで一生懸命おしゃべりするルウルウの姿が頭の中でくっきりと再現されていきいきと動き回る・・・そんな感覚を楽しんでいました。

パパは「容貌はかなり若い。態度様子はおびただしく若い。」とか、ママンは「ひととおり親切で、なにも面白がらない。少しぼんやりである。」とか、人物像の形容がまずおもしろい。
桃花心木色に「マホガニイ」色とルビをつけたり、ふたりを「ふたぁり」と表現したりするのも、茉莉さんの訳文らしくておもしろい。
そして会話はもっとおもしろくて、たとえば、ルウルウに思いをよせるムシュ・ドルステェルとの会話はこんなふう。
ルウルウ  男の欠点?・・・少しその話しましょう!・・・男ってものはみんなまちがっていて、悪で、自惚屋で、嘘つきで、(熱心に)そうして卑怯で・・・エゴイストで!・・・おまけに馬鹿で!・・・(ひとりごとで)あら、この人に可哀そうね!・・・こんなにみんないっちゃうなんてあたし馬鹿だわ!この人犬のような善良な眼をしてあたしを見てるんだもの・・・
ムシュ・ドルステェル  (いい張る)ですがママゼル、(中略)善良な、真面目な、勇気のある、それで愛すべきところがあって、誠実で、その上に優しいというような男もいますよ・・・(中略)私は現にそういう人を知ってます・・・
ルウルウ  (ムシュ・ドルステェルをじっと見る)そりゃあ無論あたしだってそういう人知ってるわ・・・ただそんな人は(じっと考えつつ)あたし好きじゃないわ!・・・

意志がつよそうな美しい少女をアールヌーヴォー調の優雅な曲線でかざった装画は宇野亜喜良さん。序文は与謝野晶子さん、解説は中野翠さんというきらびやかな顔ぶれにもうっとり・・・。
本のつくりもすばらしくて、表紙には金の箔押し、小口はぐるりとばら色、中の頁もすべてに宇野さんのイラスト(りぼんやとかげや猫や葡萄や鳥かごなど)がうす桃色で配されていて、乙女ごころをくすぐります。
ほのかな色っぽさがルウルウと茉莉さんにほんとうによくお似合い。そこにあるだけでサヴォンのいい香りが立ち上ってきそうな一冊です。

(原題『Mademoiselle Loulou』)
Author: ことり
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