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『シルエット』 島本 理生

評価:
島本 理生
講談社
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(2001-10-30)

忘れられない人と大切な人。
そのはざまで揺れ動く、女子高生の思い。後になってから気づくまちがい。
けれど間違っていたと後悔することほど、そのときには気づかない・・・。

島本さんが17歳のときに書かれた『シルエット』、16歳のときの『植物たちの呼吸』、15歳のときの『ヨル』が収められた一冊です。
島本さんが描く世界はいつもとても静かで、音のない感じ。
しっとりとして、まるで雨だったり夜だったりに閉じ込められているような。
でも、それだから、壊れそうに繊細な心の動き――すれ違いや幼さにたいするどうすることもできないやりきれなさまでもが、こんなにも鮮明に伝わってくるのかな。

それにしても、私が15〜17歳の頃って、こんなふうに物事をとらえることなんてまったくできなかった。島本さんの、文章力はもちろんですが、何よりもその感性の鋭さに感心してしまいます。
秘密とは共有するほど軽くなるものだと、当時のわたしは半ば本気で信じていた。秘密の陰にはかならずと言ってよいほど痛みや傷があり、むしろやっかいなのはそちらだということを、知らなかった。
そして本気で時が止まってしまうことを願った。あと数時間後にはいつものように日常に返ってしまうことは分かっているのに。後から考えればそれ自体が終わりの近い予感だったのに、それでも聞き分けのない子供みたいに無我夢中で神様に願った。
Author: ことり
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