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『手ぶくろを買いに』〔再読〕 新美 南吉、(絵)黒井 健

冷たい雪で牡丹色になった子狐の手を見て、母狐は毛糸の手袋を買ってやろうと思います。その夜、母狐は子狐の片手を人の手にかえ、銅貨をにぎらせ、かならず人間の手のほうをさしだすんだよと、よくよく言いふくめて町へ送り出しました。はたして子狐は、無事、手袋を買うことができるでしょうか。
新美南吉がその生涯をかけて追求したテーマ「生存所属を異にするものの魂の流通共鳴」を、今、黒井健が情感豊かな絵を配して、絵本として世に問います。

子どもの頃から、私の大好きなおはなしです。
先日義母に贈る手ぶくろを買いに行ったとき、「お手々がちんちんする」ということばがふっとうかんで思わず再読。やっぱりいいなあ・・・大好き。
なん人もの挿絵画家が絵をかかれ、いく種類も出版されているこのおはなし、私は黒井健さんが挿絵をかかれたこの絵本が一ばん好きです。つもった雪のさふさふっとした感じ、夜のとばりにほんのりとうかぶ橙色の燈火、狐の親子のやわらかそうな毛並みは、そこにとまった粉雪の結晶までも見てとれそうなほど。

子狐がはじめて雪をみる新鮮な驚き、手ぶくろを買ってやろうと思う母親のやさしさ、子狐の手を人間の手にかえてしまう不思議な魔法、母狐の人間にたいする不信感、洋品店のご主人の思いやりある態度、ひとりでお使いをする冒険、そして人間の親子の対話と子守唄・・・。
「かあちゃん、人間って、ちっともこわかないや。」
新美南吉さんのあつかう日本語がほんとうに美しい。ラストの母狐のことばがもったりと心になだれ落ちて、なんとも言えない余韻がのこります。これぞ日本の名作!
Author: ことり
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