『兵士のハーモニカ』 ジャンニ・ロダーリ、(訳)関口 英子

兵士が手にしたハーモニカには、ひとを仲直りさせるふしぎな力があった――。表題作のほか、世の中に反発して成長をこばんだ少女のお話「大きくならないテレジン」や、若者がゆかいな道連れといっしょに王さまの愛馬をつれもどす「カルッソとオモッソ」など。ユーモアと風刺、人類愛につらぬかれた粒ぞろいの18編。

ロダーリさんらしい楽しいおとぎ話がいっぱい。
ワクワクくすくす、胸躍らせながらひとつひとつ楽しみました。
小さいのにずっしり重いカルッソと大きいのにふわふわ軽いオモッソのゆかいなお話『カルッソとオモッソ』、グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』を彷彿させるかわいそうな兄妹の物語『ニーノとニーナ』、車つきの家を建て、こまっている人を入れてあげる家具職人のお話『<みっつボタン>の家』がお気に入り。
どれも人間の‘真実’を描いたお話ばかりだけれど、そこにどんな教訓がかくされているのか・・・なんて頭を使う必要はきっとないのですよね。私たちは大切なことを‘考える’より前にこんなにもしっかり‘感じる’ことができるのだから。
栄養たっぷりのスープみたいにじんわりしみる、やさしくて勇敢なお話たちです。

(原題『VENTI STORIE PIÙ UNA』)
Author: ことり
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『羊飼いの指輪―ファンタジーの練習帳』 ロダーリ、(訳)関口 英子

なんとも風変わりな――そしてもちろん、とても楽しい――短篇集です。
20こものファンタスティックな物語たちは、それぞれ3パターンのエンディングで締めくくられるのです。
読者は3つ用意された結末のうち、どれでも好きなものをえらんでいいし、もしも気に入るものがなければ自分でつくってもいいんですって。ジャンニ・ロダーリさんらしい自由でかわいい発想に胸がときめきます。
巻末にはロダーリさん自身はどの結末がお好きなのか書かれてあって、なるほどな〜、とか、私はこちらのほうが好みだけどな〜、とかひとつひとつ考えているだけでも世界がどんどん広がっていきそうでした。

私がとくに好きだったお話は、『吠え方を知らない犬(→結末その3)』、『町に描いた円(→結末その1)』、『テレビの騒動(→結末その3)』。
最後に置かれた『旅する猫』の、まだ存在していない結末、というのも素敵です。猫とおしゃべりができる未来・・・いつかそんな日がくるといいな。

(原題『TANTE STORIE PER GIOCARE』)
Author: ことり
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『青矢号―おもちゃの夜行列車』 ジャンニ・ロダーリ、(訳)関口 英子

評価:
ジャンニ・ロダーリ
岩波書店
¥ 714
(2010-05-15)

イタリアの伝統では、子どもたちにプレゼントをもってきてくれるのは、サンタクロースではなくベファーナという魔女なのだそうです。ベファーナは、エピファニーというお祭りの前夜、古ぼけたほうきにのって家々をまわり、子どもたちにプレゼントをくばります。よい子にはおもちゃやお菓子、わるい子にはなんと炭をもってきます。
このお話ではベファーナはおもちゃ屋を営んでいます。まずしい男の子のフランチェスコは、いつもおもちゃの飾られたウィンドウをながめていました。なぜって、貧乏な家の子どもはプレゼントをもらえないから・・・。
そこでウィンドウのおもちゃたちは、まよなかベファーナのお店をこっそりぬけ出してフランチェスコの家をめざしました――

「青矢号」と名づけられた機関車の駅長、車掌、運転士。帆船の片ヒゲ船長、なまりの兵隊たちと将軍、桃色人形、おすわりパイロット、インディアンの銀バネ大将、マリオネットの三人娘、そして犬のぬいぐるみのコイン・・・個性ゆたかなおもちゃたちがたくさんとびだして、にぎやかな大冒険が始まります。
淋しい別れや悲しいできごと、ベファーナに見つかりそうになるドキドキの一場面も。
彼らはぶじにフランチェスコに会えるのでしょうか・・・。

訳者あとがきに、「子どもというものは一人残らずいい子ばかり」だという作者の言葉が紹介されています。
「なかでも、まずしくてプレゼントももらえないような子は、みんないい子」
いい子もわるい子も、裕福な家の子もまずしい家の子も、子どもはみんなプレゼントを受けとる権利がある・・・そんなロダーリさんの願いがこめられたあたたかなファンタジーです。

(原題『LA FRECCIA AZZURRA』)
Author: ことり
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『空にうかんだ大きなケーキ』 ジャンニ=ロダーリ、(訳)よしとみ あや

ある朝ローマのはずれ、トゥルッロの空に、なぞの大きな物体がやってきた!!日食?!火星人の襲撃?!それとも・・・
パオロとリタの兄妹は、さっそく正体を調べにむかう。そのとき、大人たちは・・・?!国際アンデルセン賞作家ロダーリの傑作。

ある朝突然、空から巨大なケーキがやってくるという、奇想天外なお話です。
チョコレートが空から落っこちてきたり、リキュールの川が流れたり、生クリームの山ができたり・・・ああ、読んでいるだけで辺りがあまい匂いにつつまれそう。

このお話は、1966年に作者であるロダーリさんが、訪問した小学校の子どもたちと一緒につくられたものだそうです。ずいぶん前に書かれたお話ですが、ロダーリさんの書かれるお話はどれもいまの時代に通じるものがあって、古くささが感じられないのがすごいところ。
パオロとリタの兄妹は、その物体の正体は大きなケーキであることに気がつきます。でも、まわりの大人たちは、それは宇宙人の襲撃と信じこみ、子どもの言うことには耳を貸しません。子どもたちの発想の柔軟さと、大人たちのステレオタイプの頭の固さの対比がとてもうまく描かれています。子どもたちのように考えられたなら、ものごとはもっとすっきりシンプルなのにね。
じつはこのケーキ、爆弾をつくったつもりがケーキになってしまったものなんですって!おしまいはこう締めくくられています。平和への願いがつまった物語です。

いつか、爆弾のかわりにケーキが作られるようになったら、これを読んでいるみんなの分も、きっとあるだろう。

(原題『La torta in cielo』)
Author: ことり
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『猫とともに去りぬ』 ロダーリ、(訳)関口 英子

魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家。ピアノを武器にするカウボーイ。ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人。捨てられた容器が家々を占拠するお話・・・。
現代社会への痛烈なアイロニーを織り込んだ、ユーモアあふれる知的ファンタジー短編集。

相変わらずの楽しさ。皮肉と笑いを随所にちりばめた、16ものユーモラスなお話がつまっています。
パパの電話を待ちながら』よりも日本人になじみ深い地名や建物が多く、私自身訪れたことのある場所もたくさんでてきて、とんでもないことになってしまうコロッセオやサン・ピエトロ寺院、ピサの斜塔などなど想像するだけでも可笑しかったです。
ありえないわがままを言って周囲を困らせるマンブレッティ社長、魚をいっぱい釣りたいためにタイムトラベルまでしてしまう釣り人アルベルトーネ、お客様のドレスを着て金星共和国の舞踏会に出席するクリーニング店の娘・デルフィーナ・・・個性的な人びとと奇想天外なできごとが合わさった、どれも楽しいお話ばかり。
私が一ばん好きなのは、表題にもなっている『猫とともに去りぬ』。家族から邪魔者扱いされたので、ふてくされて猫になってしまう初老のアントニオ氏のお話です。
・・・いやなことがあったとき、ほんとうに猫になれちゃえばいいのにね。

(原題『NOVELLE FATTE A MACCHINA』)
Author: ことり
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『パパの電話を待ちながら』 ジャンニ・ロダーリ、(訳)内田 洋子

評価:
ジャンニ・ロダーリ
講談社
¥ 1,470
(2009-04-07)

ビアンキさんはイタリア中を旅するセールスマン。彼は、毎日9時きっかりに電話でお話を聞かせる約束を、娘としていました・・・。
ビアンキさんのお話には、おてんばなミニサイズの女の子をはじめ、びっくりキャラクターが数々登場。
シュールな展開に吹き出し、平和の尊さに涙する、きらめく珠玉のショートショート!20世紀イタリアの傑作童話登場。

なんて素敵、なんて素敵!・・・ちょっと人生観が変わっちゃいそうなくらい!
ありとあらゆる‘きらめき’と‘奇想’と‘愉快’をつめこんだようなこの本は、まるで楽しいおもちゃ箱です。
チョコレートの小道、コンフェッティの雨、宇宙旅行のできる回転木馬・・・。お散歩でからだのあちこちを落としてしまう男の子や、いつでもどこでもコロリンと落っこちる女の子、雑誌から飛び出したネズミに、鼻に逃げられたおじさん、嘘も秘密もばればれの透明人間のお話などなど・・・つぎからつぎへと惜しげもなくくり出されていく夢みたいに滑稽で上質なおとぎ話。ビアンキさんの娘さんが受話器をにぎりしめながらくすくす笑っているところまで想像できて、思わず顔がほころびます。

小学生の頃、おなじくロダーリさんの『うそつき国のジェルソミーノ』というとても楽しい本を買ってもらって読みました。ロダーリさんはきっと、大人になってもずっとずっと、曇りのない無垢な子供の目をもち続けた人なのでしょうね。「ジェルソミーノ」のお話を読んだ頃・・・いろんな想像をふくらませ、想像上の物語が頭のなかを秩序なく飛び跳ね、それをたのしんでいた、その頃のことを思い出した私です。
イタリアの太陽そのものの陽気さ、こっくりとした幸福感でいっぱいのこんな本を読んだなら、おこりんぼうの人もいじわるな人も・・・みんなほんわか優しい気持ちになれるんじゃないかなぁ。そんな魔法みたいな不思議な不思議な力強さがこの本にはそなわっていると思うの。

(原題『Favole al Telefono』)
Author: ことり
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