『優雅に叱責する自転車』 エドワード・ゴーリー、(訳)柴田 元幸

評価:
エドワード ゴーリー
河出書房新社
¥ 1,050
(2000-12)

それは火曜日より後で、水曜日より前のこと。
一台の自転車が通りかかりエンブリーとユーバートは、旅に出た。
みょうちくりんな冒険のあと帰ってきたふたりが見たものは・・・。

ブレーキもペダルもチェーンもない自転車が、主人公のふたりを座席とハンドルに乗せてすすみます。かぼそい線で描かれたいまにもひしゃげそうな自転車が、鳥のとまる木をすぎ、嵐をぬけ、ワニと出会い、納屋を突きぬけ・・・そして最後に??
表紙をひらけば、そこは不可解でシュールな世界。
とっておきのナンセンス絵本!

(原題『The Epiplectic Bicycle』)
Author: ことり
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『不幸な子供』 エドワード・ゴーリー、(訳)柴田 元幸

評価:
エドワード ゴーリー
河出書房新社
¥ 1,050
(2001-09)

あるところに シャーロット・ソフィアという女の子がおりました・・・。
トレードマークの微細な線画で圧倒的な背景を描き込み、1人の少女の不幸を悪趣味すれすれまでに描いたエドワード・ゴーリーの傑作。

またまたブラックな絵本・・・!
不幸なおいたちのシャーロットには、生まれてこのかた幸せな瞬間がありません。
不幸不幸、また不幸。たたみかけるように不運が襲い、シャーロットはどん底へまっしぐら・・なお話なのです。
救いのないお話は好きではないし、びっくりするぐらい残酷なお話なのに、ここまで徹底的にやられちゃうといっそすがすがしくもあるから不思議・・・。(そんな私はゆがんでいるのかもしれないけど)

今回もゴーリーさんの緻密な線画は健在で、よく見るとどのひとコマにも、トカゲ?怪鳥?小さな魔物めいた不穏な生き物がひっそりと顔をのぞかせています。
うす笑いをうかべながらシャーロットの不幸を喜んでいるようで、さらなる不気味さをあおるのです。

(原題『The Hapless Child』)
Author: ことり
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『ギャシュリークラムのちびっ子たち―または 遠出のあとで』 エドワード・ゴーリー、(訳)柴田 元幸

わお!
なにも知らずに手にしてみたら、とんでもなくブラックな絵本でした。
エドワード・ゴーリーさん・・・以前読んだ『うろんな客』はシュールななかにもきょとんとした楽しさがあったんだけどな・・・。
でもこの細密な線画とリズミカルな訳文は相変わらずのすばらしさです。

純粋な「ちびっ子たち」にはまちがってもおすすめできないので、ママは要注意。
このお話を上質なユーモアだと受けとめられたら、あなたは‘大人’・・・かも??

(原題『The Gashlycrumb Tinies or,After the Outing』)
Author: ことり
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『うろんな客』 エドワード・ゴーリー、(訳)柴田 元幸

評価:
エドワード ゴーリー
河出書房新社
¥ 1,050
(2000-11)

カギ鼻あたまのヘンな生き物がやってきたのは、ヴィクトリア朝の館。
とある一家の生活の中に、突然入り込んできて、そして、それから・・・。

マフラーを巻き、白いシューズを履いて、突然あらわれたヘンなやつ。どこかうらやましげに館のなかをのぞき込み、つぎの瞬間には壺の上にきょとんとたたずむ立ち姿・・・そこからお話は始まります。
緻密なモノクローム線画のかたわらには、独特の韻をふんだ原文とセンスあふれる短歌調の訳文――「うろんな客」だなんてタイトルも素晴らしい――。このシュールさ、まぎれもなく大人のための絵本です。

ふと気づいたらそばにいて、うろちょろしては迷惑ばかりかけてくれるこのやっかいな生き物は、くり返し読むうちにどこかで会った・・・ううん、それどころかよく知っている存在に重なり合ってくるから不思議。
無垢で身勝手で、なのになぜか憎めない、ほら、あの・・・!
訳者あとがきでは、あるひとつの存在を挙げてくださっています。すごく納得!でもそれと決めつけて読んでしまうのは勿体ないな・・・そんなことも思ってしまいました。読む人それぞれが身近な誰かを「うろんな客」に当てはめてニンマリする、そういう自由な読み方が一ばんこの絵本に合っていそうな気がするから。

It joined them at breakfast and presently ate
All the syrup and toast,and a part of a plate.
夜明くれば 朝餉の席に加わりて
パンに皿まで 牛飲馬食
It was subject to fits of bewildering wrath.
During which it would hide all the towels from the bath.
ともすれば 訳のわからぬ むかっ腹
風呂のタオルを 一切隠蔽
It would carry off objects of which it grew fond.
And protect them by dropping them into the pond.
気に入りし 物をひそかに 運び去り
池に投げ入れ 保護に尽力

(原題『The Doubtful Guest』)
Author: ことり
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