『明るいほうへ』 金子 みすゞ

わたしと小鳥とすずと』に続く、私にとっては2冊めの金子みすゞさんの童謡集。
大好きな彼女の童謡にまたふれられた、そのことが嬉しい。

花さかじいさん、はいおくれ、ざるにのこったはいおくれ、
わたしはいいことするんだよ。
さくら、もくれん、なし、すもも、そんなものへはまきゃしない、
どうせ春にはさくんだよ。
一度もあかい花さかぬ、つまらなそうな、森の木に、
はいのありたけまくんだよ。
もしもみごとにさいたなら、どんなにその木はうれしかろ、
どんなにわたしもうれしかろ。 (『灰』)

ひるまは牛がそこにいて、青草たべていたところ。
夜ふけて、月のひかりがあるいてる。
月のひかりのさわるとき、草はすっすとまたのびる。
あしたもごちそうしてやろと。
ひるま子どもがそこにいて、お花をつんでいたところ。
夜ふけて、天使がひとりあるいてる。
天使の足のふむところ、かわりに花がまたひらく、
あしたも子どもに見せようと。 (『草原の夜』)

子どもが子すずめつかまえた。
その子のかあさんわらってた。
すずめのかあさんそれみてた。
お屋根で鳴かずにそれ見てた。 (『すずめのかあさん』)

『わたしと小鳥とすずと』を読んだとき、私は彼女の‘弱者にたいするまなざし’に打たれました。でもこの本ではそんなまなざしを残しつつ、それ以上に‘誰かのために’という思いが強く感じられます。
私の大好きな言葉のひとつ、「ひとりはみんなのために。みんなはひとりのために」(ONE FOR ALL,ALL FOR ONE)。みすゞさんの伝えたいものもきっとおなじだったのではないかしら・・・。
すべての人が彼女の詩にふれて、感じることができたら、世の中はきっと「明るいほうへ」向かっていくのに。みすゞさんのつむぎ出すやさしい世界にふれながら、そんなことを思ったのです。
Author: ことり
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『わたしと小鳥とすずと』 金子 みすゞ

金子みすゞさん・・・70年以上も前に生きた、いまは亡き詩人です。
かろやかでリズミカルな童謡詩。彼女のそれはフワリとあたたかく、でもいつのまにか心にしみ込むように書かれてあります。その文章は短いのだけどキラリと光って、いろんなことを私たちに教えてくれているのです。

朝やけ小やけだ 大漁だ 大ばいわしの大漁だ。
はまは祭りのようだけど 海のなかでは何万の
いわしのとむらい するだろう。 (『大漁』)
            
上の雪 さむかろな。つめたい月がさしていて。
下の雪 重かろな。何百人ものせていて。
中の雪 さみしかろな。空も地面(じべた)もみえないで。
(『つもった雪』)

はちはお花のなかに、お花はお庭のなかに、
お庭は土べいのなかに、土べいは町のなかに、
町は日本のなかに、日本は世界のなかに、世界は神さまのなかに。

そうして、そうして、神さまは、
小ちゃなはちのなかに。 (『はちと神さま』)
         
わたしが両手をひろげても、お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、地面(じべた)をはやく走れない。
わたしがからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、たくさんなうたは知らないよ。
すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。 (『わたしと小鳥とすずと』)

海にのこされた魚たちの悲しみや、まんなかにつもった雪のさみしさや、目には見えない小ちゃなはちにひそんでいる神さま・・・みすゞさんはいつもいつも、小さいもの、弱いもの、かくされたものの味方なのですね。
「みんなちがって、みんないい。」
心が疲れた時、ギスギスして自分を、まわりの人を傷つけそうになった時、この本を読んだらまたふわふわとしたやさしい気持ちが戻ってきそうな気がする・・・いつも、何度でも読み返したい、私の宝物。
Author: ことり
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