『三月の招待状』 角田 光代

評価:
角田 光代
集英社
¥ 1,470
(2008-09-04)

友人の風変わりな離婚パーティで顔を合わせた5人の男と女。動揺、苛立ち、虚しさ、自分を取り戻そうとするのだが、揺れるこころが波紋をなげる。それぞれが見つける新たな出発を描いた長編小説。

春らしい爽やかな装丁とはうらはらに・・・読みながらモヤモヤ気分。
青春にしがみついたまま34歳になった大学時代の仲良しグループの物語です。
なにかしら理由をつけて集まる5人。だけどほんとうは、ただみんなでお酒を飲んでわちゃわちゃ騒いでいたいだけ・・・そんな彼らがひどく痛々しくうつります。なんだか空虚で淋しい人たち。
とりわけ、麻美が失踪したことを知ったみんなが集まって相談する場面に私は心底嫌気がさしました。だってこの人たち、心配するふりをしてどこか楽しんでるもの。彼らを遠巻きに見ているよそ者の遥香だけが、麻美の疎外感を想像して同情しているなんて・・・。
となりの芝生が青く見えちゃうことってたしかにあるけれど、角田さんはそういうちょっとグレイな負の感情をグサグサえぐりながら描くから、どんどん気持ちが暗くなってしまいました。「友達」とはいえ、勝ち負けを気にしたりどこかで見下していたり・・・、それでも一人でいるよりはシアワセ?

ともあれ私は結婚しなくちゃならないのだ。結婚して、終わらせなくちゃならない。
こういう文章を読むと悲しくなります。
なにかを終わらせるための結婚なんて、幸せになれっこないのに。
Author: ことり
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『なくしたものたちの国』 角田 光代

評価:
角田 光代
ホーム社
¥ 1,680
(2010-09-24)

生きることのよろこびとせつなさ。
松尾たいこのイラストから紡ぎだされた、角田光代の書き下ろし小説。

角田さんと松尾さん、ふたたびのコラボレーション。
Presents』に比べると、もっとふわふわした、なつかしい綿菓子みたいなファンタスティックなストーリーたち。きゅうんとせつなくて、でもあたたかいふしぎなできごとを描いた、それは物語集でした。
かつて私が大切にしていたものたち――パンダやダックスフントのぬいぐるみ、かたかた鳴る手押し車、あめ玉みたいな指輪、ビーズでつくった動物たち、集めていた香りつきのけしごむ・・・たしかに手元にあったのにいつのまにかなくしてしまったものたちがいまもきちんとならべられている場所がある・・・うれしくて、切なくて、気づいたら涙がぽろぽろこぼれていました。これまでの自分がまるごと肯定されたような、大きくてあたたかいものですっぽりとくるまれるような気持ちになり、私も子供みたいに泣いてしまったのかもしれません。
絵と文章がやさしくなかよく溶けあって、淋しい気持ちだとか心細さが、しずかな光で少しずつ照らされていくみたい。

この本を読んでいて、思ったことがあります。
人生とかものごとは‘めぐる’ということ。なくしたものや忘れ去られたものもいつか、きっとまた出会えるんだね、って。
だから、本をとじる時私をつつみ込んでいたのは、じんわりとつよい気持ち・・・。

「ゆきちゃんの言ったとおり、なつかしい」
「でしょうー?そうなのよう、なつかしいのよう」
ゆきちゃんがもうほんとうにキュートなのようー。
Author: ことり
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『ひそやかな花園』 角田 光代

評価:
角田 光代
毎日新聞社
¥ 1,575
(2010-07-24)

幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。
輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。
「あの集まりはいったい何だったのか?」
別々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。大人たちの<秘密>を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。

遠い昔のおぼろげで、けれどきらめくような夏の思い出を共有する7人の男女たち。
時を経て、自分たちをつないでいたものが何だったのかが明かされてゆく物語。
秘密が明かされるまでのスリリングな展開と、知ってしまってからの葛藤――7人それぞれに思い悩み苦しんで、そうして自分なりの答えをだしていくようすが角田さんらしい迫力のある筆致でていねいに描かれていきます。
知らなかったほうがよかったのか、出逢わなかったほうがよかったのか・・・でも、
落胆すら、手に入らなかったのだ、向き合おうとしなければ。

このお話の根っこには‘子どもがほしくてたまらないのにできなくて苦しい気持ち’がつねにくすぶっています。せつなくて、切羽つまった、どうしようもない気持ち。
女性として、‘産む’こと、‘産まない’ことについて考えさせられる物語でした。
私も子どもはほしいけれど、夫と私のあいだにできた子どもじゃないならほしくない。だから私がもしおなじ立場でも、このお話にでてきた選択をすることはきっとない。
でも、こういう道をえらんだ女性を頭から否定することもできないのです・・・。

ひそやかな思い出を共有する男女たちに、明るい未来が待っていますように。
Author: ことり
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『森に眠る魚』 角田 光代

評価:
角田 光代
双葉社
¥ 1,620
(2008-12-10)

東京・文教地区の街で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、小学校受験をきっかけにその関係性は変容していき・・・。
出口の見えない暗黒の森をさまよう母親たちの物語。

幼い子供をもつ母親の孤独とか傷み、嫉妬などの心の揺れが、すごみのある筆致であぶり出されていきます。‘小説’というよりも、隣近所にゴロゴロ転がっていそうなありがちな話という印象で、だからこそ、そのリアルさがたまらなく怖ろしい。
たとえば、宮部みゆきさんの本からふいに犯罪に巻き込まれてしまうこわさを感じるのなら、このお話から伝わってくるのはもっと身近な人たちのもつ毒。できれば目をそらしていたい、自分自身のなかのおぞましさ・・・。
繭子も千花も容子も瞳もかおりも、けっして悪い人ではありません。それどころか、それぞれにどこかしら共感のできる‘フツウの’女性たち。なのにふとしたタイミングでいじわるの芽が顔を出し、いままで心地よかった関係がばらばらにほどけていく。せまい世界で疑心暗鬼にかられていく・・・まるでお話ぜんたいが「あなたには、ほんとうの友だちがいるの?」 そんな問いかけを読み手へとぶつけるように。

だったらあの人たちと離れればいいのだと彼女はわかっている。人は人、自分は自分なのだから。なのにそうすることができない。なぜできないのか彼女にはわからない。(中略)
なぜ私を置いていくの。なぜ私を傷つけようとするの。必死に思いながら、離れるのではなく追いかけてしまう。

人間関係が壊れ始めると、心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられていきます。
角田さんの、とくに女性にたいする厳しいまでのとがった描き方に、私は思わずため息まじりで読んでいました。でも勢いのあるストーリー展開と、「あなたには、ほんとうの友だちがいるの?」とこちらに突きつけるような文章の流れに、気がつくとミステリーを読んでいる時のようにお話にどっぷり浸っていたのです。
私はまだ子供がいませんが、子供をもつことにちょっぴり臆病になってしまいそう・・・あと、どうしてもとなりの芝生は青く見えちゃうものなのかな・・・この本を読みながらそんなことも思ってしまった私でした。
Author: ことり
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『ロック母』 角田 光代

評価:
角田 光代
講談社
¥ 1,365
(2007-06-15)

『ゆうべの神様』、『緑の鼠の糞』、『爆竹夜』、『カノジョ』、『ロック母』、『父のボール』、『イリの結婚式』。初の芥川賞候補作から川端賞受賞作まで・・15年にわたる代表作を集めた短編集。

「わ!まっ黒・・」 この本を手にした時、思わずそんな声をあげてしまいました。
表紙、背表紙、裏表紙、そこまでならめずらしくないのかもしれないけれど、そのうえ小口まで――本をとじた時すべての面がまっ黒な本なんて初めてだったから。
そしてそして・・・読み始めてみると、お話の内容までもがまっ黒だったのです。
「黒」とひと口に言っても、さらっとした潔い「黒」ではなくて、ドロリとねばっこく、暑苦しくてやかましい、そんな「黒」。
商店街の喧噪、鬱陶しいうわさ話、アジアの町の熱風と砂埃、ごちゃごちゃとした台所、大音量のロック・・・所帯じみたそうぞうしい描写のなかに飛びかう「殺したい」だとか「胸糞悪い」などの激しい言葉たち。
角田さんのお話には、じんわりとせつなさがこみあげてくる清潔なお話と、人の心のいやなところをなまなましくさらけ出した辛らつなお話がありますよね。この本は、後者がお好きな方におすすめの一冊。前者好きの私にはあまりしっくりとハマりませんでしたが、そんな私も『ロック母』と『父のボール』は好きでした。
Author: ことり
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『八日目の蝉』 角田 光代

評価:
角田 光代
中央公論新社
¥ 1,680
(2007-03)
不倫相手の赤ちゃんを誘拐してしまった女・希和子目線の逃避行(前半)と、彼女に3歳まで育てられた少女・恵理菜目線で描かれた、事件の波紋と傷跡(後半)。
サスペンス・タッチの物語。

正直・・・前半は、気持ちごと入りこむ、そんな読み方ができなかった私でした。
たしかにドキドキとスリルある展開には違いありませんが、私には希和子よりも、なんにも知らない赤ちゃんや、娘を奪われたほんとうの母親のほうが気にかかってしまったから。身をよせることになる‘新興宗教’に思わず拒否反応を起こしたせいもあるかしら・・・。
ところが後半、恵理菜のお話ではどうしようもなく心が揺さぶられていったのです。
どうして。どうして。どうして。
どうして私だったの。ねえ、どうして私だったの。
「犯罪者に育てられた娘」として好奇な視線を浴び続けた恵理菜のなかにいつもくすぶっていた思い。声にならない慟哭。けれどある時、そんな思いを抱えて過ごしてきたのは自分だけではなかったと気づく――その場面が胸にズシンとひびきます。
希和子が赤ちゃんをさらったことの真相もつぎつぎ明らかにされていき、彼女だけが悪かったわけじゃない・・けっして赦されることではないけれど、彼女にも彼女なりの理由がちゃんとあったんだ。どんな事柄も、一方からほんのちょっと覗いたくらいで分かるはずもなかった、とあらためて気づかされた私・・・。

しあわせってなあに?不幸せってなあに?
親って?子供って?家族って?・・・この本に登場するいろんな女性たちのいろんな思いが、さまざまな問いかけとなって心にもったりとなだれ落ちます。
「私、自分が持っていないものを数えて過ごすのはもういやなの」
僅かでも、ささやかでも、自分が持っているものを数えていけたら、いまある人生の見え方が変わるのかもしれない・・・そんなことを思いました。
重たいお話のなかに、キラキラとした明るさが宿るラストシーンが好き。この道は未来とつながっている。大地をしっかりと踏みしめているような、なんとも言えないたくましさが好きです。
Author: ことり
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『薄闇シルエット』 角田 光代

評価:
角田 光代
角川書店
---
(2006-12)

そりゃ結婚するんだよ。当然でしょう。ちゃんとしてやんなきゃってやっぱ思うよね。タケダくんはそう言っていた。どうして結婚が当然なのか。どうして私がちゃんとしてもらわなきゃならないのか。その決定にまつわる権限をどうしてタケダくんが持っていて、私がその決定を喜ぶとどうしてだれも疑わないんだろう?
37歳の‘結婚なんてしたくない’働く独身女性・ハナ。
恋人からのプロポーズに違和感をおぼえた彼女が、「結婚」について人生を模索していくストーリー。

おなじ境遇、おなじ考えをもつ同世代の女性たちにはきっとすごくおもしろくて、同時にたまらなくイタイお話なんだろうな。感情移入できればできるほど、お話の随所にひそんだするどい指摘が牙をむき、グサリと心につきささるのだろう、そんな本。
私はというと、大好きな人と結婚したくてしたくて結婚し、いまに満足している専業主婦です。雑誌をみていて‘活躍している女性’の年齢をつい確かめてしまう・・・そんな誰にともないコンプレックスのようなものはわかる気もするけれど、結婚したくない女性の気持ちはほんとうにはわからない。想像はできても、共感することはむずかしかった私です。
どうしてそこまでかたくななのかしら・・・。
‘結婚なんてしたくない’そういう考え方もアリだろうけど、「勝ち負けなんて」って言いつつ誰よりも勝ち負けにこだわっているのはハナさん、あなたじゃないのかなぁ?
ハナの必死さが、私にはなんだかちょっぴり滑稽だったのです。
Author: ことり
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『彼女のこんだて帖』 角田 光代

評価:
角田 光代
ベターホーム出版局
¥ 1,470
(2006-09-01)

恋を失って泣きたい夜に食べるフルコース、専業主婦の憂うつを救うシチュウ。あなたはどの「彼女」の料理を作る?
角田光代のハートフル・ストーリーに、登場する料理を再現した詳しいレシピ付きの、2度おいしいこんだて帖。

食事にまつわる15コの物語に、登場したお料理のレシピがくっついた、小説×料理のコラボレーション。
ふだん小説を読んでいておいしそうなごちそうが出てくると、その姿、その味、その匂いをつい想像してしまう・・・そんな食いしんぼうな私にはたまらない一冊でした。
そえられた写真を眺めているだけでもおなかがキュルンと音をたてます。そのうえ、そのごちそうを再現することもできてしまうのですから・・・。

小説のおはなしをしましょう。
15コの物語、これ実は連作短編になっていました。ちいさなお話がネックレスのようにつながっていき、最後のお話には最初のお話の「彼女」が登場します。
ひとつひとつが心にしみて、おなかにしみて、不思議と元気がわいてくる。
‘食事’。その単純でなにげない営みには、愛情や喜び、そして深いかなしみも・・・、いろんな思いがまじり込んでいるんだなあ。そんなふうに、きちんと料理されたものを食べることがどれほど幸福でありがたいか、当たり前すぎて忘れてしまっていることをあらためて思い起こさせてくれる物語たち。
お宝かぼちゃや豚柳川のエピソードになんどもなんどもこらえた涙・・・それがいっきにブワっとあふれ、こぼれ落ちたのは意外にもあとがきでした。そこでは角田さんのお料理にたいする思い、お母様にたいする思いが綴られています。
これから読まれる方は、ちゃんとあとがきまで味わってくださいね。
Author: ことり
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『夜をゆく飛行機』 角田 光代

評価:
角田 光代
中央公論新社
¥ 1,620
(2006-07)

むかしながらの商店街にある、古ぼけた谷島(やじま)酒店。
そこに暮らす個性豊かな一家――両親と四姉妹――を巡るさまざまなできごとを、四女・里々子の目線で描きます。

里々子は高校3年生。
物干し台にすわり、夜をゆく飛行機をながめては、生まれることなくお母さんのおなかで死んでしまった弟の「ぴょん吉」に語りかけている、そんな女の子。
イベント好きの気のいいお父さん、家庭料理が得意なお母さん、しっかり者ながら駆け落ち経験がある長姉で主婦の有子(ありこ)、「石になって」高校時代を送った‘のろくさい’次姉・寿子(ことこ)、着飾るのが好きで体裁やブランドばかり気にする三姉・素子・・・バラバラなようでしっかりバランスのとれていた里々子一家ですが、寿子が家族をモデルにした小説で文壇デビューしたのをきっかけに、家族のかたちが崩れ始めて・・・。

四姉妹、といえば『若草物語』(オールコット)や『細雪』(谷崎潤一郎)をまっさきに思いうかべてしまう私ですが、この物語はそのどちらの雰囲気ともちがっていて、軽妙な語り口でズバズバ言ってのけてくれる気持ちのいい展開。
どこか可愛らしい人たちばかりで、クスっと笑えるぶぶんもあったり・・・。
けれど最後には、じんわりとしたせつなさが待っていました。変わらないでいてほしいのに、いやおうなく変わっていってしまう「家族」。それをそれぞれのやり方で、なんとかつなぎ止めようとするみんながすごくせつないのです。
今ここにあるものと、すでになくしてしまったもの。私たちはその双方を捨てることができない。ひょっとしたら生きていくということは、どんどん何かをなくしていくことかもしれない。なくしたものを持ち続けることかもしれない。
もうにどと、戻れない場所。
心のなかにしか持ち続けられないもの。実体がなく、戻りたくても、もう一度手にしたくてもかなわないから、だから里々子たちが望んだ「中間みたいな場所」。
死んでしまった人たちや喧嘩別れしたボーイフレンド、幼稚園で仲のよかった友達、そして‘あの頃の家族’――そんな彼らにすぐに会いに行かれる場所が欲しくなる気持ち・・・その喪失感が痛いくらいにわかってしまい、わかるのだけどなかなか言葉にできずにくすぶらせていた思いまでがお話にさらりと描かれていて、私のなかで音をたてて腑に落ちた・・・そんな気がした物語でした。

物干し台から見上げた夜空。みつめた先の飛行機の明かり。
こちらにむかってくる飛行機は静止したように見えるけれど、その光はまぎれもなく動いている。
まぎれもなく。家族も、・・・人生も。
Author: ことり
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『Presents』 角田 光代

評価:
角田 光代,松尾 たいこ
双葉社
---
(2005-12)
たった一度きりの人生。
そのなかで、私たちはいったいどれほどのプレゼントをもらうのでしょう。
プレゼントはけっして品物だけにとどまりません。品物はいつかなくしてしまうことがもしあっても、そこに託された贈り主の想い、受けとったときの気持ち、贈り主との関係、記憶、時間――それらは永遠に残っていく。それらすべてをひっくるめたものが「プレゼント」。私たちは、そんなたくさんの人からもらった膨大なプレゼントを糧にして、毎日毎日生きてきたし、これから先も生きていくんだなぁ・・・。
ああ、じんわり嬉しくて、なんだか涙が出そう。

『名前』、『ランドセル』、『初キス』、『鍋セット』、『うに煎餅』、『合い鍵』、『ヴェール』、『記憶』、『絵』、『料理』、『ぬいぐるみ』、『涙』。12このプレゼントと、それにまつわる人生をきりとった物語たち。
不確かな人生、揺れる思い。選んできたつもりでも、流されて今ここにいる自分。
けれど12人の主人公たちは、今だからこそ、贈られたものものにこっそりしまわれていた‘大切な何か’の存在に、気づくことができたのではないかしら。

私はあのとき、いったい何をもらったんだろう?

私はこの本が、これまで読んできた角田さんの本のなかで一ばん好き。
松尾たいこさんの挿絵もとても素敵で、まるで包装紙みたいなラッピング(装丁)がほどこされたこれは、きっと‘本の神様’が私にくれたプレゼント・・・読んでいるだけでそんな気がしちゃう。
大切なひとへの贈りものにもおすすめの一冊です。こんなすてきな本をいただいてしまったら、それがまた記憶になって、気持ちが生まれて、もうひとつ別のお話ができてしまうかもしれませんね。
Author: ことり
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