『かもさん おとおり』 ロバート・マックロスキー、(訳)わたなべ しげお

ゆっくり休める寝床をさがしてボストンの街にやってきた、かものマラードさんとマラードおくさん。けれど街なかは危険がいっぱい・・・快適な場所はなかなかみつかりません。ようやく夫婦は、チャールズ川のみずべのしげみに気持ちのよい場所をみつけてたまごを8つうみました。
たまごがかえり、マラードさんがお出かけしたある日のこと、マラードおくさんと子がもたちは、1列にならんで大通りにむかってあるきだしました――

マラードおくさんが どうろを よこぎりかけました。
「ぶぷー ぶぷー!」 はしってくるじどうしゃの けいてきがなりました。
マラードおくさんは、ころげるように とびのいて、「ぐぅあー!」と、なきました。すると、「ぐぁっ!ぐぁっ!ぐぁっ!ぐぁっ!」 ジャックと、カックと、ラックと、マックと、ナックと、ウァックと、パックと、クァックが、ちいさなくちを いっぱいにひらいて、できるだけ おおきなこえで なきました。

ひやっとするほど危ない場面。でも、自動車たちとかもさん一家のにぎやかな応酬がとても楽しく描かれています。
騒ぎをききつけ、おまわりさんがとんできて――?
こげ茶色のおおらかなイラストが魅力の、愉快でやさしいアメリカの古典絵本。コルデコット賞受賞作です。

(原題『Make Way for Ducklings』)
Author: ことり
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『すばらしいとき』 ロバート・マックロスキー、(訳)わたなべ しげお

お父さんのつつみ込むような語りで描かれていく、ひと夏のヴァカンスのようす。
子どもたちをつれてやって来たペノブスコット湾にうかぶ小島。そこでのすばらしい時間と風景が、ゆったりとひろがっています。
 
おまえたちは あかりをけし、
舟つきばに むかって こぐ。
星が みおろし、
水にうつった星の影が みあげている。
しずかな夜、
百くみもの目が
おまえたちを みつめている。
ひとくみの目が、その上から
すべてを みつめている。

日ごと、時間ごとにちがう表情をみせる空や海。 どんどん近づいてくる雨雲や、しだがそだっている音、ヨットのまわりでとびはねて遊ぶいるかたち。そして――、なにがあっても愛され見守られているという安心感。
どきどきするほど大きな自然の、その甘さも厳しさもたっぷりと享受して、やがてヴァカンスは終わりを迎えます。一家が海辺の家をひきはらい、子どもたちが、潮のみちひきに合わせていた時計をスクールバスのゆききに合わせるときがきたのです。
思い出の品を荷物につめる幼い姉妹。そのちいさな胸をよぎるのは・・・?
でも これからいく場所のことを
かんがえると、すこし、うれしいだろ。
やさしくひびくお父さんのささやきが、すみずみまで心をうるおしてくれます。
感傷と、期待と。なんともいえないせつない気持ちを抱えながら、本をとじるのです。

(原題『TIME OF WONDER』)
Author: ことり
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『海べのあさ』 ロバート・マックロスキー、(訳)石井 桃子

評価:
ロバート マックロスキー
岩波書店
¥ 1,785
(1978-07-07)

サリーのこけももつみ』のサリーが、もう少し大きくなってからのおはなしです。
はじめて歯が抜けることのよろこびで、はちきれそうになっているサリー。その姿は微笑ましくて、見ているだけでくすりとなごんでしまいます。
妹にたいしてもいっそうお姉さんらしくふるまったり、‘成長していくこと’を全身で受けとめている様子が生き生きと描かれています。
海べの生活はすべてが美しく、子どもの成長をゆったりと立ち止まって見守ってくれる大人たちがいる・・・そんな環境がサリーのように素直でのびやかな女の子をはぐくむのですね。
マックロスキーさんの絵本は、絵も文も最高にステキ。大好きです。

(原題『One Morning in Maine』)
Author: ことり
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『サリーのこけももつみ』 ロバート・マックロスキー、(訳)石井 桃子

評価:
ロバート・マックロスキー
岩波書店
¥ 1,836
(1986-05-26)

頁をまえに、しぜんとこぼれ出てくる笑み・・・なんとも幸福で、ニコニコしながらこの絵本を読んでいた私でした。
サリーとおかあさん、こぐまとおかあさんぐまがそれぞれにこけももをつみに行くおはなしは、すべての頁が紺色と白色のさっぱりと清潔な色合いで描かれています。
澄みきった山の空気やきこえてくるいろんな音――ポリン・ポロン・ポルン!とサリーがこけももをバケツに入れる音や、むしゃむしゃ、ごくり!とくまがこけももを食べる音はかわいすぎます!――がすぐそばのことみたいに感じられるのです。
見返しに描かれた、あまずっぱいジャムの匂いがいまにも伝わってきそうなアメリカンな台所の絵も好きだし、ブルーベリーを「こけもも」と訳す石井さんのそんなセンスも大好き。
これから私、ブルーベリージャムのことは「こけももジャム」ってよぼうと思う!

(原題『BLUEBERRIES FOR SAL』)
Author: ことり
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