『いろいろな人たち―チャペック・エッセイ集』 カレル・チャペック、(編訳)飯島 周

評価:
カレル・チャペック,飯島 周,Karel Capek
平凡社
¥ 1,223
(1995-03)

うちに帰るとお風呂に入り、あたしは本のつづきを読んだ。『いろいろな人たち』は、ところどころに絵の入ったエッセイ集。すごくおもしろい。
(『神様のボート』より)

つい一週間ほど前にも再読した江國香織さんの『神様のボート』。そのなかで、草子が読んでいる本です。
『男と女と日常生活』、『文化と社会』、『政治的動物』の大きく3つの章から成っているエッセイ集で、チェコの新聞『ナーロドニー・リスティ』と『リドヴェー・ノヴィニ』の二紙に掲載されたコラム記事から編訳されたというもの。

チャペックさん流のちょっと(?)偏った視点からつむぎ出される‘人間観察’エッセイは、たっぷりのユーモアと風刺がほんと可笑しくて、とくに第1章に入っている『歯根膜炎について』のお話なんてくすくすくすくすもう笑いっぱなし。
けれど第2章『文化と社会』のとちゅう辺りから、あれ?ちょっぴり話題がこむずかしくなってきたかな?と感じ始め、第3章では政治論や民主主義の精神論などのオン・パレード。ざんねんながら私にとっては退屈なものになっていってしまいました。
第2章のとちゅうから、というのは変なタイミングだし私の気のせい?とも思ったのだけど、そういえば兄・ヨゼフさんのほのぼのたのしいイラストも、私が「あれ?」と思い始めたちょうどその辺りから忽然と、綺麗さっぱり描かれなくなっている・・・これってあながち気のせいでもないのかも・・・。
「ところどころに絵の入った」ところまでは、うん、とってもおもしろかった!
Author: ことり
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『園芸家12カ月』 カレル・チャペック、(訳)小松 太郎

評価:
カレル チャペック,Karel Capek,小松 太郎
中央公論社
¥ 520
(1996-03)

チェコの生んだ最も著名な作家カレル・チャペックは、こよなく園芸を愛した。彼は、人びとの心まで耕して、緑の木々を茂らせ、花々を咲かせる。その絶妙のユーモアは、園芸に興味のない人を園芸マニアにおちいらせ、園芸マニアをますます重症にしてしまう。無類に愉快な本。

とても楽しい園芸エッセイです。
なにかひとつのことにのめり込んでいるマニアの人って、どうしてこんなに愉快で滑稽で厄介で、そのくせとっても幸せそうなのでしょう!!

チャペックさんの頭のなかは、寝ても覚めてもお庭のことばかり。
土をふかふかにし、虫を追い払い、植付けをし、そえ木をあててやり、愛する花々のために毎日せっせと庭いじりに精をだします。
ひと雨こないかとやきもきし、降ったら降ったで降りすぎだと空に文句を言う。しゃがみ仕事でからだが痛んでくると、背骨のない動物をうらやましく思い、折りたたんだ脚がじゃまになる。もう植える場所なんかないのに次から次へと苗木がほしくなるし、旅先でだって家の花々が気にかかり、るすばんを頼んだ人に水をやってくれだの雑草を抜いてくれだの毎日毎日手紙を出す・・・。
もう可笑しいったらないのです。あれこれ気をもんで、アタフタしているチャペックさんを想像するとたまらなくて、くすくす笑いがこみ上げてきちゃう。
そうして一日として心の休まることのない一年をすごし、雪の降る季節になってふとゆっくりお庭をながめる余裕がなかったことに気づくだなんて・・・あああ、なんという皮肉・・・。

園芸マニアの哀しくも可笑しな生態が、ユーモラスな文章でつづられている一冊。
お兄さんのヨゼフ・チャペックさんが描かれた挿絵も味があってかわいくて、素敵にこのエッセイを盛りたててくれています。ヨゼフさんの挿絵は『長い長いお医者さんの話』でも楽しめます。

(原題『Zahradníkův rok』)
Author: ことり
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『ダーシェンカ』 カレル・チャペック、(監訳)伴田 良輔

評価:
カレル チャペック,Karel Capek
新潮社
---
(1995-12)

お聞き、ダーシェンカ。少しの間静かにしていたら、お話をしてあげるよ・・・。
チャペックが愛犬のために書いたお話8篇とエッセイ。自筆のイラスト、ダーシェンカの写真も一杯の、何ともほほえましい楽しい本。

生まれたばかりのとき、チャペックさんの手のひらにかくれてしまうほどちっぽけで、ただの白いかたまりだった子犬のダーシェンカ。
いたずら好きでやんちゃなダーシャをなんとか静かにさせようと、語り聞かせる‘おとぎ話’で幕をあけるこの本は、じっさいにチャペックさんが撮影したダーシャの写真(みるみる大きくなる様子やおちゃめなポーズがほんとうにかわいい!)や味のあるイラスト、くすくすほほえましいコメントも満載で、見ているだけでしあわせな気持ちになります。
チャペックさんのダーシェンカにたいするやさしいまなざし・愛情が、そこかしこにあふれている犬好きにはたまらない一冊です。

(原題『DÁŠEŇKA : čili život štěněte』)
Author: ことり
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『長い長いお医者さんの話』 カレル・チャペック、(訳)中野 好夫

評価:
カレル・チャペック
岩波書店
¥ 756
(2000-06)

チェコの文豪、カレル・チャペックさんのおしゃれなおとぎ話7編。
『長い長いお医者さんの話』、『郵便屋さんの話』、『カッパの話』、『小鳥と天使のたまごの話』、『長い長いおまわりさんの話』、『犬と妖精の話』、『宿なしルンペンくんの話』――どれもこれも、本の頁を前についつい笑顔がこぼれてしまうお話たちです。
世知がらい世の中に嫌気がさしてる? それならたとえばこんなお話はどうかしら。

『郵便屋さんの話』
チェコの郵便局には妖精が住んでいるそうです。
妖精たちは手紙にさわるだけでその手紙があたたかい手紙か、そうでない手紙かが分かり、真夜中になるとそれらをつかってカードゲームに興じます。そんな妖精たちの様子を、うっかり寝すごした郵便屋さんがそっと見ていました。
ある日のこと、とてもとてもあたたかく、けれど宛先も差出人も書いていない手紙が郵便局に舞いこみます。こんなあたたかい手紙が届かないなんて!郵便屋さんは妖精たちの力をかりて、宛先不明の手紙を届ける長い長い旅に出ることになり・・・。

魔法使い、カッパ、天使、妖精、七つ頭の怪獣・・・それらがすんなりとけ込んでいるやさしい世界。人情深い人びとのゆかいな物語たちにいつのまにか心地よくのせられている・・・そう気づいたとき、胸のなかはあたたかなものでいっぱいのはず。
チェコの郵便局で夜ごとおこなわれる妖精たちのカードゲーム。
プラハを流れるヴルタヴァ川の氾濫は、ずっと上流に住んでいるカッパのしわざ。
にわとりが空をとべない理由はね・・・。
「ふとしたはずみから、ふだん見なれていたものを、まるで新しい目で見なおすようなことが、だれでもよくある」・・・この本にでてくるお医者さんの言葉です。これらのお話を読んでいると、‘いま見えている現実’をちがった角度からみてみたくなります。
そういえば、チェコを旅行したときに遭ってしまった大洪水(2002年夏のあの大洪水です)、あれはカッパのしわざだったんだなあ!

(原題『Devatero Pohádek Karla Čapka』)
Author: ことり
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