『はんなちゃんがめをさましたら』 酒井 駒子

あるひ
はんなちゃんはね
めが さめて おきあがってみたら
まだ よるだったんですって。

真夜中に目をさました女の子がひとりで体験するしずかな夜のおはなしです。
となりで眠っているおねえさんをよんでも起きないし、おとうさんもおかあさんもみんな眠っているから、はんなちゃんは猫のチロとすきなことをしてあそびます。

そうっとそうっとみちていく魔法のような時。
冴えざえとしみる月の光、ゼリーみたいな群青色の闇とその密度。
夜の世界をはじめてひとりですごすほんのりとした高揚感。

しんと色濃い闇のむこうから、あの親密でとくべつな時間が溶けだしてくるようで、息をひそめてページをめくりました。いつしか私まで、子供のころの眠れなかった夜の気配につつまれて・・・。
やがてようやく白みはじめた空には、彼女を待つお菓子のような一日の予感。
女の子のひそやかな一夜をすくいあげ、ないしょ話をうちあけるように語ってくれる、しっとりやさしい絵本です。


酒井駒子さんのサイン会に出かけました。
サイン本です↓ <2012年12月追記>
Author: ことり
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『よるくま クリスマスのまえのよる』 酒井 駒子

私の大好きな『よるくま』の2冊めの絵本、クリスマス・イヴのおはなしです。
もう・・・なんてかわいらしい絵本なんでしょう!

「ぼくには サンタさん くるかなぁ。こないのかもしれないね、だって ぼく わるいこだから。きょう ママに いっぱい しかられたから」
そんなぼくをぎゅううってうしろから抱きしめてくれるよるくま、やさしいなあ。
飛行機にとびのり、ブロロロローーーって夜空に飛んでいくシーンが好き。ちいさな頃にもどって、やさしいうでに抱かれている場面も。
おかあさんのあたたかい胸を恋しく思うぼくの気持ちに、きゅんとなります。

いいこでおやすみ。
めざめたら、「メリー・クリスマス」


「よるくま クリスマスのまえのよる」原画展に出かけました。
サイン本です↓
Author: ことり
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『BとIとRとD』 酒井 駒子

評価:
酒井 駒子
白泉社
¥ 1,620
(2009-06)

うんとずっと昔、ちいさな女の子だった頃、私のそばには神さまがいて。
小鳥やぬいぐるみともおしゃべりできる自分だけのちいさな王国がありました。
鳥の羽根や貝がらボタン、いい匂いのする花びらなどを小箱にこっそり隠していた頃・・・ポケットの中のちいちゃな石までみーんな親しかったひそやかで素敵な世界。しゃぼん玉のようにあっけなく消えてしまう淡い夢。

『昼間の蒸気機関車』、『図書館』、『お友達』、『12月』、『幼稚園』、『指しゃぶり』、『カミナリ』、『スイレン』。ちいさな女の子・□(しかく)ちゃんの淡い世界8編。
どれもこれも、存在すら忘れていたあのひみつの小箱を開けたような、そんな心地がしました。すやすやと眠りこんでいた遠い時間をそっと揺り起こしたような。
たしかにあった過去とゆらめく記憶。埃っぽくて、なつかしくて、――にどと戻れない。
「あっこれ、私も感じたことがある」・・・、そんな気持ちがとくべつ思い当たったお話は、『お友達』。
夢のすきまに遊び、とつぜんよび戻された時の、すべてが‘こわれる’あの感じ。
お友達はちゃんといたのに。たしかに生きて、そこにいたのに・・・。

曇りのない瞳。とっておきのひみつ。うしなわれた魔法。
□ちゃんのように白く柔らかな心に傷をおって、ちいさな涙をぽろりぽろりこぼして、みんな少しずつおとなになっていくんだね。
おとなになる、それはとてもせつなくて――、きっととても怖いこと。
Author: ことり
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『酒井駒子 小さな世界』 酒井 駒子

評価:
酒井 駒子
学習研究社
¥ 1,470
(2008-06)

今や定番となった『よるくま』(偕成社)、ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)で金牌を受賞した『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)、名作を見事にリメイクした『ビロードのうさぎ』(ブロンズ新社)・・・。日本のみならず、世界からも新作絵本が待ち望まれる絵本作家・酒井駒子さんの作品は、まるで天からの贈り物のよう。子どもから大人まで心をとらえて離さない物語と、静ひつさをたずさえた芳醇で美しい絵。彼女の紡ぎ出す魔法に包まれた箱庭のような小さな世界を、酒井さんが自ら考えた10の言葉に導かれながら、一緒に旅しましょう。

酒井駒子さんの描きだすすばらしい世界を心ゆくまで堪能できます。
絵本づくりのとちゅうやラフスケッチ、彼女が大好きな絵本たちの紹介など、駒子さん好きにはほんとうにたまらない内容。(あっ、かき下ろし絵本も入っています。)

少年少女、よりもまだそのまえの段階の幼い子供たちが描かれることの多い彼女の絵。目にするたびに私はいつもドキドキしてしまうのですが、はちはちした手足やぷっくり愛らしい表情の背後にひそむ漆黒の闇に、子供というのは可愛らしいだけじゃなく、孤独で残酷で、いつも不安にみちていたことを思い出すのかもしれません。

長い人生の、ほんの束の間のひととき。
その心細いほどの美しさに、どの頁をひらいてもうっとりします。永久保存版。
Author: ことり
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『ロンパーちゃんとふうせん』 酒井 駒子

評価:
酒井 駒子
白泉社
¥ 1,260
(2003-03)

お母さんと街に出かけて黄色い風船をもらったロンパーちゃん。お家に帰って一緒に遊ぼうと思っても、風船はすぐに天井まで飛んでいってしまいます。
お母さんが飛んでいかないようにと、スプーンをくくりつけてくれました。
ロンパーちゃんは風船がだいすき。遊んでいる時も、ごはんを食べる時も、寝る時もいつも一緒にいたい。でも、お外で遊んでいるとつよい風が吹いてきて・・・。
  
ふわふわうかぶ風船をもらったときの嬉しさ、手の届かない所へ行ってしまったときの悲しい気持ち・・・ちいさかった頃の思い出がぎゅっと心によみがえって、胸がジーンとなるおはなしでした。
ぷっくりした頬、そよそよなびくやわらかそうなくせっ毛、ちょっとしたしぐさまで、主人公のロンパーちゃんがほんとうに愛らしく描かれています。
駒子さんの絵本が、私はほんとうに大好き。
Author: ことり
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『ゆきがやんだら』 酒井 駒子

まっしろな雪。降り積もる雪。
しんしんと、しんしんと。
パパは出張中。ママとふたり、雪の日をおうちですごすウサギのぼうやのお話です。

つめたい空気とさびしげな気配。
まるでスノウドームの住人になったみたいな、閉じられた雪の世界。
けれどそんな静寂さえもやさしくくるんで、知らず知らず、心があたたまってくる愛にみちた絵本でした。楽しかった子ども時代・・・まっさらな雪面にあしあとをつけて遊んだ、あのワクワク感がよみがえります。
 
「ぼくと ママしか いないみたい、せかいで。」
Author: ことり
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『金曜日の砂糖ちゃん』 酒井 駒子

『金曜日の砂糖ちゃん』、『草のオルガン』、『夜と夜のあいだに』の3つのおはなし。
思わずつんつんしたくなる、ぷっくりとした頬や二の腕。憂いをおびた瞳。
やわらかなタッチで描かれた子どもたちが、幻想の国にはこんでくれる絵本です。

「黒」が印象的な駒子さんの絵。この「黒」がたまらなく好き。
広い宇宙においてきぼりにされてしまったような心細さ。
時間も喧噪も、すべて塗りつぶし、切りとられた一瞬一瞬・・・。
なのに、やさしい。そして、不思議と、こわくない。

不安定な心、遠い日のあいまいな記憶たち。
言葉少ななおはなしたちは、読むたびに別のなにかを思い起こさせてくれる。
ちいさなちいさなささやき声が聴こえてきます。
Author: ことり
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