『猫ばっか』 佐野 洋子

猫はペットなんかじゃない。実用品、命の恩人ね、と言った友達。点滴の針をつけたまま逃亡し、猫探偵社の男が捜しても帰らなかったクロ。色気に欠ける茶トラにナルシストの白い猫・・・
「あんたも生きているし、私も生きている」
猫を猫以上のものとして愛さずにいられないあなたへ、心あたたまる究極の猫の本、贈ります。

ひょうひょうと柔らかく、ちょっとみだらな猫たちの絵が満載です。
我儘でふてぶてしくて、でも愛さずにはいられないちいさな存在について、奔放な文章でつらつらと記されていく楽しいエッセイ。
猫好きにはたまらない、猫・猫・猫・・・の本。

追悼――
「洋子さんが亡くなったと知った日、『100万回生きたねこ』を読んでまた泣きました。
 あなたがとても好きでした。どうもありがとうございました。」
Author: ことり
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『クク氏の結婚、キキ夫人の幸福』 佐野 洋子

評価:
佐野 洋子
朝日新聞出版
¥ 1,050
(2009-10-07)

三人の愛人を持つクク氏の離婚、ともに再婚者であるキキ氏とキキ夫人の新生活はどのような悲喜劇を迎えるのか。
男女の三角関係と傷だらけの日々を、詩的な文章で痛快に描き出す、愛と痛みに満ちた物語。

佐野さんいわく「すけべで嫌らしい」、ちいさなちいさな小説2編。
なんとも正直であけすけで、ところどころに毒をふくませたお話は男の人も女の人もみんなドキっとさせてしまいそうです。
飾らないことば、みじかいセンテンス。だからこそいっそう真実にちかくて、こんなふうに心が丸裸にされるのかしら・・・。

どうでもいいや、そんな表現がぴったりのクク氏。
嫉妬心からふしぎな力を発揮してしまうキキ夫人。
うねうねとまじわる男と女の、さっぱりとしてなまなましい、これは大人の童話です。
Author: ことり
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『役にたたない日々』 佐野 洋子

評価:
佐野 洋子
朝日新聞出版
¥ 1,575
(2008-05-07)

「68歳は閑である。バアさんが何をしようと注目する人は居ない。淋しい?冗談ではない。この先長くないと思うと天衣無縫に生きたい、思ってはならぬ事を思いたい」
友人とともに料理をし、家族を思いながら、韓流や漢詩に身をこがす。人生の名言がゴロゴロ転がっているエッセイ集。

2003年秋から2008年冬までの出来事や思いを日記ふうにつづっていく、痛快エッセイ。言葉づかいが少しくらい乱暴でも、彼女の魂(こころ)の純粋さがしみ出してくる文章・・・言葉って、その人を、その人生をうつすのだなあと思います。
するどい人間観察や日々の爆笑エピソードからみえてくる佐野さんの‘あっぱれ’な心意気。おなじ女として背すじがのびる思い。
終盤、乳がんから骨への転移がみつかり、余命を医者に聞くところはびっくりするほどあっさりしていて、そのぶん読み手は心がしんとなります。余命2年を宣告されたその帰りにジャガーを購入し、「死ぬとわかるのは、自由の獲得と同じだと思う。」

「だっていつか死ぬじゃん、そんなのわかっているじゃん・・・もっと大変な病気いっぱいあるじゃん、・・・何でガンだけ『ソウゼツなたたかい』とか云うの、別にたたかわなくてもいいじゃん、私、たたかう人嫌いだよ」

おもしろくて笑ってしまう場面もたくさんなのに、読み終えるころには人生をたっぷり考えさせられている・・・そんなしみじみとした深い味わいの残る一冊。
余命2年――。佐野洋子さんが死んでしまったら、私は100万回生きた猫みたいにわあわあ声をあげて泣きじゃくろう、そう思いました。
Author: ことり
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『わたしが妹だったとき』 佐野 洋子

わたしとお兄さんは、だれよりも気の合う遊び仲間でした。
わたしに弟ができ、また弟ができ、また弟ができたのに、わたしはお兄さんとばかり遊んでいました。
お兄さんが、ある日、遠くへいってしまうまで――。
これは、わたしが妹だったときの、お兄さんとわたしの話です。

佐野洋子さんの文章を読むと、いつもむき出しの美しい魂を感じます。
もちろん私はもうじゅうぶんおとな、なのですけれど、心だけが子どもの時間につれ戻されて、読み終わる頃にはつるつるのきれいな心にして返してくれます。
この本にはむずかしいことばも、よけいなことばも、ありません。
ほんとうに必要なことばだけがそこにあり、私の心はふるふるとふるえます。

「お兄ちゃん、あしたまた、運がよかったらね。」
Author: ことり
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『あれも嫌い これも好き』 佐野 洋子

100万回生きたねこ』の作者・佐野洋子さんのエッセイ。
この人の文章は信用できる・・・私がこの本を読んでいて一ばんに感じたこと。
「すいか泥棒の思い出にウットリ」、「金とともに有料老人ホームに母を捨てた」――えっ、こんなこと書いていいの? そう思わせるような文章たちは、世間の常識だとか道徳の枠など取り外してくれそうな自由な空気をふくんでいます。

死んでしまった弟さんについて書かれたこんな一文が心にのこりました。
自分が弟の手を強く引っぱったことを思うとダラダラ泣き、でも次の日はケロッとして、思い出す時だけダラダラ泣きました。
テレビなどで、「誰それを忘れたことは一時たりともない」「毎日泣いて暮らしました」そんな台詞を耳にするたび、ほんとに?一時も?毎日?なんてついつい疑っちゃういじわるな私には、佐野さんの言葉はよっぽど真実にひびいたのです。

この本は3部構成なのですが、機閉日新聞掲載分)がとくに素敵でした。
なんだろう・・・佐野さんの文章には、いやおうなく心がはだかにされてしまうの。
よぶんなものがはぎ取られて、気がつくと、私ははだかの子どもになっていました。
Author: ことり
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『100万回生きたねこ』 佐野 洋子

評価:
佐野 洋子
講談社
¥ 1,470
(1977-01)
しあわせって、愛されることじゃなくて愛すること。
愛するって、自分のことより大切におもうこと。
だれかのために泣けること。

たった31ページ。
だけどこの一冊だけで、おおくのことを伝えられる絵本。
かなしいけれど、あたたかなものが残ります。

100万回読んで、100万回泣きたい。
Author: ことり
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