『山本容子のアーティスト図鑑 100と19のポートレイト』 山本 容子

色気のある男とダンディな女。
世界と日本のアーティスト119人を描いた銅版画と、彼らと“対話”することで浮かんできた言葉のエッセンス。
10年以上かけて制作された、「本の話」表紙画シリーズのオールカラー完全版。

ひっそりとした架空の小部屋でひとりひとりと向かいあい、その‘心の声’を聞きとり描いたかのようなおしゃれなアーティスト図鑑。
マルグリット・デュラスから、泉鏡花、円地文子、サガン、岸田劉生、トーベ・ヤンソン、コルトレーン、シャガール、ピアソラ、ホックニーまで・・・119もの表情ゆたかな肖像画(EX・LIBRIS)には、それぞれに味わい深い文章も添えられています。アーティストたちの遺してくれた文学なり絵画なり音楽なりが、その息吹といっしょにふわっと香ってくるような、柔らかな色と気配にみちています。
彼らひとりひとりが隠しもっていたプライヴェートななにか――それはもしかしたら本人ですら気づいていないかもしれない――を思いがけずすくいとられて、みんなちょっぴり照れくさそう。
各文章のおしまいの言葉とはじまりの言葉とが、しりとりのようになっているのも素敵です。時も場所も、思想さえもこえて、アーティスト同士がなかよく手をつないでいるみたいです。
Author: ことり
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『本の話 絵の話』 山本 容子

シェイクスピア、ジョイス、ランボーに森鴎外、太宰治、谷崎潤一郎・・・72人の文豪たちと「戯れる」。綺羅星のごとき作家の肖像画に、才気溢れるオマージュを添えて。
自身の読書体験、装幀秘話、好きな画家、芸術の冒険もあわせて語り明かし、「文学とアートの幸福な結婚」、美術家・山本容子のすべてを本のかたちにしました。

『本の話』、『人の話』、『絵の話』。
大きく3つの章からなる、おしゃれで知的なエッセイ。

『本の話』では、敬愛する作家たち――あるいは画家たち――と触れ合った思い出を中心に語られ、『人の話』では、ほやんと味わい深い線で描かれた文豪たちの肖像画にちょっぴり可笑しみのある文章がよりそい、心が柔らかにくつろぎます。
感覚的に‘相手’と接し、踏みこみすぎることなく上手に波打ち際で戯れる・・・
とても気さくで心地よい、こんな「文学案内」もいいなぁ。
『絵の話』では、銅版画における技術と方法論について熱く語られています。
画家として、表現者として、どこをとっても山本容子さんの魅力がぶわーっとあふれてくる素敵な一冊でした。


■ この本に出てきた読んでみたい本たち <読了メモは後日追記>
『遠い声 遠い部屋』→読了、『夜の樹』 トルーマン・カポーティ
『ナンセンスの絵本』→読了 エドワード・リア
『トオマス・マン短篇集』 トーマス・マン
『緩やかさ』 ミラン・クンデラ
Author: ことり
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『わたしの美術遊園地』 山本 容子

評価:
山本 容子
マガジンハウス
¥ 1,890
(1999-10)

‘おこちゃん’だった頃の思い出、画家になろうと決めた日、愛犬ルーカスとの出逢いから、美術や映画、絵本について・・・。山本容子さんの人柄あふれる、目にも愉しいカラフルなエッセイです。
ちいさな頃から絵描きになることを決めていたわけではなかったこと・・・美大にすすむキッカケが書かれた文章は少し意外だったかな。でも、容子さんの絵からにじみ出てくるやさしさやあたたかさは日常のさりげない風景から‘瞬間’をみつけ出すことを大切にされているからこそで、(絵の才能はもちろんですが)やはり彼女は絵描きになるべくしてなった方なのだ、そうつよく感じました。
容子さんがつくってみたいと語るメリー・ゴーラウンド。それに乗って夜空を駆けめぐる人びとを想像しました。みんな幸せそうに、こちらに手を振っているところ。
心躍る、まさに遊園地のようなエッセイ集でした。

聞きなれた歌や会話、見慣れた風景など、生活の一部分を描いていますが、どの部分でもよいというわけではなく、絵になる瞬間があります。それは、何でもない見過ごしてしまいそうなことが、少し角度を変えて飛び込んでくるときです。(中略)
ですから、これといった予定もなく家の周りや街をブラついたり、人の集まりそうなところで会話を聞いたり、コーヒー店で人の出入りを見たりすることが、私の生活の大事な部分であり、ぜいたくな時間なのです。
Author: ことり
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『アリス!―絵で読み解くふたつのワンダーランド』 山本 容子

「不思議の国」と「鏡の国」、ふたつのアリスワールドが山本容子さんの絵で愉しめる一冊です。
アリスの挿絵、といえばテニエルですが(私がはじめて出逢ったアリスもそう。岩波少年文庫版)、容子さんの描かれたアリスもため息がでるほどすてきなのです。
銅版画のやわらかな風合いで描かれていく、狂気にみちたおかしな世界たち。
チョッキを着た兎、珍妙なお茶会メンバー、チェシャ猫、ハンプティ・ダンプティ・・・。おなじみのキャラクターたちをとりかこむようにして、アリスのセリフがちりばめられているのも楽しい。
不思議の国のアリス』も、『鏡の国のアリス』も、そして山本容子さんも大好きな私には、たまりませんでした。

4月に、「山本容子のワンダーランド」展に出かけました(江國香織さんとのトークイベントにも)。原画はもっともっとすばらしかったです。
Author: ことり
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『犬は神様』 山本 容子

評価:
山本 容子
講談社
¥ 1,575
(2006-11-18)

銅版画家である私は、版画の性質上、ものごとを反転させて考えることがしばしばある。あるとき、犬(DOG)を反転させると神(GOD)になることに気づいた。そう、犬は神様なのだ。

子供のころから「犬を切らしたことがない」暮らしをしてきたという山本容子さん。そんな彼女が、これまでの人生でおなじ時間をともに過ごした歴代の犬たちの系譜を、エッセイと美しい銅版画でたどった本です。
楽しかった日々はもちろん、やがて訪れる別れのとき・・・いくつもの思い出、いくつものエピソード。じんわりするもの、くすりと笑えるもの、悲しいもの。容子さんの、犬にたいする感謝の気持ちがたっぷりとつまっていて、胸がいっぱいになりました。
Author: ことり
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『おこちゃん』 山本 容子

評価:
山本 容子
小学館
¥ 1,533
(1996-02)
 おこちゃん おこちゃん、おくちが おおきいのね
 そうよ、かあさんも おおきいのよ
いつも元気な「おこちゃん」とあったか家族のなつかしい日々・・。著者が自らの子ども時代の、明るく愉快なエピソードをつづる版画絵本。
あなたの隣りにもきっといそうな女の子の、びっくりひっくり絵日記。
Author: ことり
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『パリ散歩画帖』 山本 容子

評価:
山本 容子
阪急コミュニケーションズ
¥ 1,944
(2006-10-31)

銅版画家山本容子さんが小路を散歩しながら見つけたパリの日常。
フランスパンの袋を、カフェのメニューを、メトロの切符を、キッチュにコラージュ。美しい旅の断片が一冊の思い出の画帖になりました。

この本のテーマは、画家がパリを描く、ではなく「画家がパリと遊ぶ」なのだそう。
かんじんなのは感性と遊び心。そう語る容子さんの旅の記憶がさまざまなコラージュで紙の上にとどめおかれ、頁をながめているだけで、マルシェの喧噪や石畳の靴音、鼻先をくすぐるパン屋さんのこうばしい匂いなど、私も大好きな街・パリの情景が目の前にフワっとよみがえってきます。

「逆転の発想をしましょう」・・・こんな書き出しで始まる箇所がありました。
「日曜に友人を招待したいけれども、お店が開いていない。さて、どうしよう」。こんなとき、ないからできない、ではなく、「あるもので最高のものにする」と考えます。
「あるもの、限定されたものでどれだけいいものがつくれるか」。
容子さんの今回の作品の材料も、文具屋さんでみつけた子ども用のシールたちやいちごジャムのふたの布など、ありふれたものばかり。彼女の技術や絵心はもちろん、感性と遊び心、そしてなにより素朴だけれどあたたかい・・・そんな‘ぬくもり’がたくさん感じられたのです。
Author: ことり
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『山本容子の食物語り』 山本 容子

評価:
山本 容子
清流出版
¥ 2,376
(2007-04)

生き方そのものから、気取らないセクシーさがふわんと匂いたつような画家・山本容子さんの食べ物エッセイ。さまざまな時期に描かれた36枚の銅版画(ほんと素敵!)をカラーで紹介しながら、そこに登場した食べ物について語られています。
絵のなかの食べ物たちはどれも主たるテーマではなく、偶然描かれた要素。けれど彼女の「食」にたいするこだわりだとか大切な思い出が気持ちよく伝わって、読んでいると思わずにっこりしてしまいました。

家で今日の献立は何にしようかと考えるだけでも、昨日とは違う今日の小さな喜びが生まれる。
献立を考える時、それが毎日だともやもやしたり面倒だったりすることもありますよね。そんな時に思い出したいなと思った一文です。
時代や世間にまどわされず、自分の信念をきちんと持っている人。
容子さんって、そんな凛とした潔さが感じられます。もちろん、お洒落でどこか懐かしい版画たちからも。
容子さんの絵に初めて出逢ったのは中学時代、彼女が装丁を手がけられた吉本ばななさんの『TUGUMI』でした。少女と夏の海のストーリーにみごとに溶けあった色鮮やかなお花と小鳥の表紙――なんども読み返した大好きな本は、いまも変わらず私の本棚にあります。
Author: ことり
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