『彼女たちの場合は』 江國 香織

評価:
江國 香織
集英社
¥ 1,944
(2019-05-02)

「これは家出ではないので心配しないでね」
14歳と17歳。ニューヨークの郊外に住むいとこ同士の礼那と逸佳は、ある秋の日、二人きりで“アメリカを見る”旅に出た。
美しい風景と愛すべき人々、そして「あの日の自分」に出逢える、江國香織二年ぶりの長編小説。

読書はそもそも旅に似ているけれど、この物語は旅そのものでした。
ぱたん、――本を閉じたとき、2人の「ただいま」と彼女たちがトランクを閉じる乾いた音が聴こえた気がした。

夜の鉄道、慣れないヒッチハイク、その土地土地の食べものの味。
いきあたりばったりの道行き。見知らぬ町の喧噪と空の青さ。
旅先で出会ったすべての人たち――愛すべき人も、そうでない人も。
思春期のたいくつな日常から離れ切りとられた時間のなかで、その時に見た風景、抱いた感情はそれはもう特別で、もちろん個人的なものだ。それらをその空間ごと共有するれーな(礼那)といつか(逸佳)。

無駄な約束だったね――
鈴をころがすような、れーなの声がする。
「たとえばこの朝がどんなにすばらしいかっていうことはさ、いまここにいない誰かにあとから話しても、絶対わかってもらえないと思わない?」

薔薇の咲き初めた実家のイングリッシュ・ガーデンの、新緑のベンチで私はこの本を読みました。
雨あがりの土の匂い、柔らかな木漏れ日、ちいさな噴水からこぼれる水音・・・。白い頁をひらりとかすめる蝶ちょの翳、母屋から風にのってくる娘の笑い声、日ごと咲き誇る花々の甘い香り・・・。
この先なんど読み返しても、花園にこもって読んだあの旅の空気感は一度きり、もう戻らない。‘物語’に出逢う前と後。記憶のなかにとどまる閉じられた風景。れーなといつかがまたおなじ町を訪れても、おなじ体験は二度とできないように。

平成から令和へ。旅の列車にひととき乗り合わせたようなそんな心持ちで、少女たちの寄る辺ない――けれど未来の彼女たちを丈夫にしたに違いない――アメリカ横断を見守っていたうつろいの数日間。
このあとにつづくいつかの7年に思いを馳せる。れーなはうさぎのぬいぐるみを見るたびにこの旅を思い出し、いつかの声を聞きたくなることでしょう。
そして私はこの本を手にとるたび、きらめく初夏のガーデンを思い、令和の幕開けの瞬間を思うの。光のつまったトランクのふたを開けて。
Author: ことり
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年間ベスト〔2018〕 絵本・詩集編

2018年、50冊の絵本・詩集を読みました。
心にのこった10冊です。
■ 作家名50音順 ■ 再読本はふくみません。 → 一般書籍編

はるのワンピースをつくりに』 石井 睦美、(絵)布川 愛子
『恋の迷宮』 宇野 亞喜良
『ジュエルキャット』 おかだ なおこ
『美しい街』 尾形 亀之助
『女一匹』 佐野 洋子、広瀬 弦
『はなびのひ』 たしろ ちさと
イギリス 野の花図鑑』 ヘンリー・テリー
『せかいいちのいちご』 林 木林、(絵)庄野 ナホコ
『ふしぎの国のアリス』 松本 かつぢ
『ふたごのうさぎ』 ダフネ・ロウター


ふわり、お菓子の国のような絵本世界へ娘とおでかけする幸せ。
のはなはるかさん、布川愛子さん、たしろちさとさんにお会いできました。
Author: ことり
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年間ベスト〔2018〕 一般書籍編

2018年、172冊の本(一般書籍122冊+絵本・詩集50冊)を読みました。
心にのこった15冊です。
■ 作家名50音順 ■ 絵本、詩集、再読本はふくみません。 → 絵本・詩集編

『日本人の恋びと』 イサベル・アジェンデ
『少女たちは夜歩く』 宇佐美 まこと
江國香織童話集』 江國 香織
物語のなかとそと―江國香織散文集』 江國 香織
『たけこのぞう』 大濱 普美子
『名もなき王国』 倉数 茂
『人形つくり』 サーバン
『斜陽』 太宰 治
ソロ』 ラーナー・ダスグプタ
『罪深き緑の夏』 服部 まゆみ
『満ちみてる生』 ジョン・ファンテ
『奥のほそ道』 リチャード・フラナガン
『少女パレアナ』 エレナ・ポーター
『女神』 三島 由紀夫
『狼たちの月』 フリオ・リャマサーレス


娘の小学校受験で身も心もスレスレだった日々。よりそってくれた物語たち。
おかげさまで、春から某国立大学の附属小学校に通います♡
Author: ことり
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ブログお休み中の読了本〔2018〕

■ 『ぎょらん』 町田 そのこ (12/29)
■ 『夜届く』 倉知 淳 (12/26)
■ 『恋の迷宮』 宇野 亞喜良 (12/25)
■ 『人形つくり』 サーバン、(訳)館野 浩美 (12/21)
■ 『暁の死線』 ウィリアム・アイリッシュ、(訳)稲葉 明雄 (12/19)
■ 『ラ・タ・タ・タム―ちいさな機関車のふしぎな物語』〔再読〕 ペーター・ニクル、(絵)ビネッテ・シュレーダー、(訳)矢川 澄子 (12/16)
■ 『変身綺譚集成』 谷崎 潤一郎 (12/14)
■ 『博物誌』〔再読〕 ジュール・ルナール、(訳)岸田 国士 (12/13)
■ 『少女たちは夜歩く』 宇佐美 まこと (12/09)
■ 『ウエハースの椅子』〔再読〕 江國 香織 (12/06)
■ 『バレエ名作絵本 くるみわり人形』 石津 ちひろ、(絵)堀川 理万子 (12/03)
■ 『穴あきエフの初恋祭り』 多和田 葉子 (12/03)
■ 『山羊の歌』 中原 中也 (11/27)
■ 『バラの声』 武鹿 悦子 (11/25)
■ 『十四番線上のハレルヤ』 大濱 普美子 (11/24)
■ 『物語のなかとそと―江國香織散文集』〔再読〕 江國 香織 (11/22)
■ 『東郷青児―蒼の詩 永遠の乙女たち』〔再読〕 東郷 青児 (11/19)
■ 『夜のリフレーン』 皆川 博子 (11/18)
■ 『うたかたの日々』〔再読〕 ボリス・ヴィアン、(訳)伊東 守男 (11/11)
■ 『沈黙のパレード』 東野 圭吾 (11/09)
■ 『マイ・ヴィンテージ・ハロウィン』 マリオン・ポール (10/31)
■ 『きんのおの』 蜂飼 耳、(絵)宇野 亞喜良 (10/25)
■ 『火車』〔再読〕 宮部 みゆき (10/24)
■ 『ラ・カテドラルでの対話』(上・下) バルガス=リョサ、(訳)旦 敬介 (10/24)
■ 『ふたごのうさぎ』 ダフネ・ロウター (10/14)
■ 『パールとスターシャ』 アフィニティ・コナー、(訳)野口 百合子 (10/11)
■ 『アリスのティーパーティ』 桑原 茂夫 (10/07)
■ 『レモンのお菓子』 若山 曜子 (10/07)
■ 『猫のエルは』 町田 康、(絵)ヒグチ ユウコ (10/06)
■ 『裏窓の目撃者』 W・アイリッシュ、(訳)内田 庶 (10/06)
■ 『たけこのぞう』 大濱 普美子 (10/04)
■ 『ホリー・ガーデン』〔再読〕 江國 香織 (10/02)
■ 『4ミリ同盟』 高楼 方子 (09/29)
■ 『瘋癲老人日記』 谷崎 潤一郎 (09/26)
■ 『画本 厄除け詩集』〔再読〕 井伏 鱒二 (09/24)
■ 『サーカスへいったねこ』 曽田 文子 (09/21)
■ 『日のあたる白い壁』〔再読〕 江國 香織 (09/21)
■ 『アリス・ザ・ワンダーキラー』 早坂 吝 (09/20)
■ 『不思議なシマ氏』 小沼 丹 (09/17)
■ 『夕闇の川のざくろ』〔再読〕 江國 香織 (09/13)
■ 『くじ』 シャーリイ・ジャクスン、(訳)深町 眞理子 (09/11)
■ 『名もなき王国』 倉数 茂 (09/09)
■ 『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』 (編)高原 英理 (09/05)
■ 『オデット』〔再読〕 ロナルド・ファーバンク、(絵)山本 容子、(訳)柳瀬 尚紀 (09/04)
■ 『うっかりの玉』 大久保 雨咲 (09/01)
■ 『わがままなやつら』〔再読〕 エイミー・ベンダー、(訳)管 啓次郎 (08/31)
■ 『燃えるスカートの少女』〔再読〕 エイミー・ベンダー、(訳)管 啓次郎 (08/30)
■ 『ウサギの本』〔再読〕 松浦 寿輝 (08/28)
■ 『春風コンビお手柄帳』 小沼 丹 (08/27)
■ 『なつのひかり』〔再読〕 江國 香織 (08/27)
■ 『ブック・オブ・ソルト』 モニク・トゥルン、(訳)小林 富久子 (08/25)
■ 『はなびのひ』 たしろ ちさと (08/23)
■ 『豚の死なない日』 ロバート・ニュートン・ペック、(訳)金原 瑞人 (08/21)
■ 『コレラの時代の愛』 G・ガルシア=マルケス、(訳)木村 榮一 (08/21)
■ 『罪深き緑の夏』 服部 まゆみ (08/16)
■ 『小さいおうち』〔再読〕 中島 京子 (08/12)
■ 『戦時の音楽』 レベッカ・マカーイ、(訳)藤井 光 (08/11)
■ 『雲と鉛筆』 吉田 篤弘 (08/08)
■ 『とらんぷ譚 悪夢の骨牌』 中井 英夫 (08/08)
■ 『晩年の父』 小堀 杏奴 (08/06)
■ 『小さなとらと大どろぼう』 チムニク、(訳)山室 静 (08/01)
■ 『悲しみよ こんにちは』〔再読〕 サガン、(訳)朝吹 登水子 (07/29)
■ 『せかいいちのいちご』 林 木林、(絵)庄野 ナホコ (07/29)
■ 『ちょうちんそで』〔再読〕 江國 香織 (07/28)
■ 『大あたり アイスクリームの国へごしょうたい』 立原 えりか (07/27)
■ 『虹の家のアリス』 加納 朋子 (07/26)
■ 『螺旋階段のアリス』 加納 朋子 (07/25)
■ 『とらんぷ譚 幻想博物館』 中井 英夫 (07/22)
■ 『わたしのものよ』 マルー (07/21)
■ 『号泣する準備はできていた』〔再読〕 江國 香織 (07/21)
■ 『新しい名字 ナポリの物語2』 エレナ・フェッランテ、(訳)飯田 亮介 (07/19)
■ 『鉱石倶楽部』 長野 まゆみ (07/16)
■ 『とるにたらないものもの』〔再読〕 江國 香織 (07/16)
■ 『偽姉妹』 山崎 ナオコーラ (07/12)
■ 『TUGUMI』〔再読〕 吉本 ばなな (07/11)
■ 『ペンギンクルーズ』 のはな はるか (07/05)
■ 『Ladyのたしなみ』 おおた うに (07/05)
■ 『ひとりぼっちのあなたに さよならの城 はだしの恋唄』 寺山 修司 (07/04)
■ 『存在の耐えられない軽さ』 クンデラ、(訳)西永 良成 (07/01)
■ 『穴』 小山田 浩子 (06/28)
■ 『飛ぶ孔雀』 山尾 悠子 (06/27)
■ 『オールドレンズの神のもとで』 堀江 敏幸 (06/24)
■ 『青い麦』〔再読〕 コレット、(訳)堀口 大學 (06/22)
■ 『落下する夕方』〔再読〕 江國 香織 (06/22)
■ 『ウルフィーは、おかしなオオカミ?』 ニコラ・シニア、(訳)おびか ゆうこ (06/21)
■ 『ハリスおばさんパリへ行く』〔再読〕 ポール・ギャリコ、(訳)亀山 龍樹 (06/17)
■ 『奥のほそ道』 リチャード・フラナガン、(訳)渡辺 佐智江 (06/17)
■ 『ジュエルキャット』 おかだ なおこ (06/09)
■ 『美しい街』 尾形 亀之助 (06/08)
■ 『女神』 三島 由紀夫 (06/07)
■ 『めまい』 ボワロー=ナルスジャック、(訳)太田 浩一 (06/04) 
■ 『フィレンツェだより』 リルケ、(訳)森 有正 (05/30)
■ 『父と私 恋愛のようなもの』 森 茉莉 (05/26)
■ 『冷静と情熱のあいだ―Rosso』〔再読〕 江國 香織 (05/25)
■ 『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』 大竹 昭子 (05/20)
■ 『日日是好日』 森下 典子 (05/19)
■ 『あめあめふれふれもっとふれ』 シャーリー・モーガン、(絵)エドワード・アーディゾーニ、(訳)なかがわ ちひろ (05/18)
■ 『アンデルセンのおはなし』 アンデルセン、(訳)江國 香織 (05/18)
■ 『五月よ 僕の少年よ さようなら』 寺山 修司、(絵)宇野 亞喜良 (05/16)
■ 『ウィステリアと三人の女たち』 川上 未映子 (05/16)
■ 『マザリング・サンデー』 グレアム・スウィフト、(訳)真野 泰 (05/11)
■ 『ひとりぼっちのバラ』 水森 亜土 (05/09)
■ 『イギリス 野の花図鑑』 ヘンリー・テリー (05/07)
■ 『主よ 一羽の鳩のために―須賀敦子詩集』 須賀 敦子 (05/07)
■ 『聖母なる月のまねび(他)』 ジュール・ラフォルグ、(訳)吉田 健一、中江 俊夫、伊吹 武彦、宮内 侑子 (05/06)
■ 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』〔再読〕 江國 香織 (05/03)
■ 『グドーさんのおさんぽびより』 たかどの ほうこ、(絵)佐々木 マキ (05/02)
■ 『斜陽』 太宰 治 (04/30)
■ 『ネックレス』 モーパッサン、(絵)ゲーリー・ケリー、(訳)もき かずこ (04/26)
■ 『都の子』〔再読〕 江國 香織 (04/20)
■ 『日本人の恋びと』 イサベル・アジェンデ、(訳)木村 裕美 (04/18)
■ 『夕映え少女』 川端 康成 (04/12)
■ 『満ちみてる生』 ジョン・ファンテ、(訳)栗原 俊秀 (04/07)
■ 『少女パレアナ』 エレナ・ポーター、(訳)村岡 花子 (04/05)
■ 『バン・マリーへの手紙』 堀江 敏幸 (04/03)
■ 『黒い睡蓮』 ミシェル・ビュッシ、(訳)平岡 敦 (04/02)
■ 『イースターのたまごの木』 キャサリン・ミルハウス、(訳)福本 友美子 (04/01)
■ 『ブローチ』〔再読〕 内田 也哉子、(絵)渡邉 良重 (03/30)
■ 『思いわずらうことなく愉しく生きよ』〔再読〕 江國 香織 (03/29)
■ 『彼方の友へ』 伊吹 有喜 (03/29)
■ 『七つの蕾』 松田 瓊子 (03/26)
■ 『少年アリス 三月うさぎのお茶会へ行く』 長野 まゆみ (03/22)
■ 『夜の手帖』〔再読〕 マリー・ローランサン、(訳)大島 辰雄 (03/21)
■ 『やわらかなレタス』〔再読〕 江國 香織 (03/21)
■ 『物語のなかとそと―江國香織散文集』 江國 香織 (03/19)
■ 『蝶のいた庭』 ドット・ハチソン、(訳)辻 早苗 (03/15)
■ 『戀愛譚―東郷青児文筆選集』 東郷 青児 (03/13)
■ 『猫道―単身転々小説集』 笙野 頼子 (03/09)
■ 『父の帽子』〔再読〕 森 茉莉 (03/08)
■ 『不思議の国のアリス コンプリート・イラストレーションズ』 ルイス・キャロル、(絵)ジョン・テニエル、(訳)楠本 君恵 (03/07)
■ 『お花屋さんの花レシピ』 浦沢 美奈 (03/07)
■ 『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』〔再読〕 江國 香織 (03/05)
■ 『はるのワンピースをつくりに』 石井 睦美、(絵)布川 愛子 (02/28)
■ 『ふしぎの国のアリス』 松本 かつぢ (02/28)
■ 『江國香織童話集』 江國 香織 (02/28)
■ 『マルラゲットとオオカミ』 マリー・コルモン、(絵)ゲルダ・ミューラー、(訳)ふしみ みさを (02/28)
■ 『シェル・コレクター』 アンソニー・ドーア、(訳)岩本 正恵 (02/27)
■ 『おなじそらのしたで』 ブリッタ・テッケントラップ、(訳)木坂 涼 (2/23)
■ 『センセイの鞄』〔再読〕 川上 弘美 (02/23)
■ 『十二単衣を着た悪魔―源氏物語異聞』 内館 牧子 (02/22)
■ 『猫と庄造と二人のおんな』〔再読〕 谷崎 潤一郎 (02/22)
■ 『アンネ・フランクの記憶』 小川 洋子 (02/18)
■ 『茂田井武美術館 記憶ノカケラ』 茂田井 武 (02/12)
■ 『北極サーカス』 庄野 ナホコ (02/10)
■ 『きらきらひかる』〔再読〕 江國 香織 (02/09)
■ 『口笛の上手な白雪姫』 小川 洋子 (02/06)
■ 『雪子さんの足音』 木村 紅美 (02/03)
■ 『ウエハースの椅子』〔再読〕 江國 香織 (02/02)
■ 『ソロ』 ラーナー・ダスグプタ、(訳)西田 英恵 (02/02)
■ 『白樺のテーブル』 安房 直子、(絵)味戸 ケイコ (01/28)
■ 『小川洋子の「言葉の標本」』 小川 洋子、福住 一義 (01/28)
■ 『肺都』 エドワード・ケアリー、(訳)古屋 美登里 (01/27)
■ 『ギレアド』 マリリン・ロビンソン、(訳)宇野 元 (01/23)
■ 『大手拓次詩集』 大手 拓次 (01/21)
■ 『狼たちの月』 フリオ・リャマサーレス、(訳)木村 榮一 (01/20)
■ 『幼年 水の町』 小池 昌代 (01/18)
■ 『もりのちいさなしたてやさん』 こみね ゆら (01/16)
■ 『ピルエット』 東 逸子 (01/16)
■ 『鉱物のお菓子 琥珀糖と洋菓子と鉱物ドリンクのレシピ』 さとう かよこ (01/16)
■ 『ドミノのお告げ』 久坂 葉子 (01/15)
■ 『女一匹』 佐野 洋子、広瀬 弦 (01/13)
■ 『いかさまお菓子の本』 クリスティン・マッコーネル、(訳)野中 モモ (01/12)
■ 『銀河鉄道の夜』 宮沢 賢治、(絵)藤城 清治 (01/11)
■ 『場所』 マリオ・レブレーロ、(訳) 寺尾 隆吉 (01/10)
■ 『すきまのおともだちたち』〔再読〕 江國 香織 (01/08)
■ 『トランプの中の家』 安房 直子 (01/07)
■ 『妖精のわすれもの』 東 逸子 (01/07)
■ 『細雪』〔再読〕 谷崎 潤一郎 (01/06)
Author: ことり
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『ペンギンクルーズ』 のはな はるか

評価:
のはな はるか
くもん出版
¥ 1,512
(2018-06-13)

ペンギンクルーズはペンギンみんなのあこがれのたび。
ダンスフロアもプールもあるおおきなふねにのって
みなみのしまをめざします。
きてきのおとをあいずにさあ、しゅっぱつです・・・
 
青い空、青い海、豪華客船に乗りこんだ55羽のペンギンたち。
ひととき乗りあわせた旅の船で、彼らはどんなきらきらの思い出をつむぐのでしょう。
仕事をこなすクルーたち、むらさき水晶の洞窟探検、船上のプロポーズ・・・  
かろやかな怪盗のしわざとは? 映画館ではどんな名画が・・・?
うさぎマンション』 とおなじく、ひとつひとつのお部屋に目をむければそれぞれに物語がみえてくる、そんな細やかさがどこまでも愉しい。
オレンジいろの夕日、こぼれんばかりの星空、少しせつないクルーズのおわり。
にぎやかな愛らしさと夏の旅情に「たのしかったね!」 娘とにっこり本をとじました。


のはなはるかさんのワークショップ&サイン会に出かけました。
サイン本です↓ 娘あて。
Author: ことり
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『イギリス 野の花図鑑』 ヘンリー・テリー

評価:
ヘンリー・テリー
パイインターナショナル
¥ 2,160
(2018-03-12)

1873年の夏、3人の子どもたちが摘んできた野に咲く可憐な草花を、父親が描いた花のアルバム。
すべての花に和名を記載する。学名、英名・英国での通称、和名・日本での通称を記した花のリスト付き。

ヘンリー・テリー。その見知らぬ名を、記憶する。
ヴィクトリア朝、オックスフォード周辺、お父さんと3人の子どもたち――そこはまるで、アリスの「きらめく黄金の午下がり」。

ブルーベル、ウスベニアオイ、エニシダ・・・
ワスレナグサ、スノーベリー、エリカ・テトラリクス・・・
ほんのりとミルク紅茶色した紙のうえ、繊細で愛らしくレースのようにゆれる花たち。これがありふれた図鑑やボタニカル・アートと異なるのは、名もなきひとりの父親の手づくりであるところ。子どもたちが野原で摘んできた草花をお父さんが描いたっていうそこのところがとても好きです。
子どもたちが野原にくりだす夏の午後、お父さんが彼らのために一つ一つスケッチする夏の夕べ。眩しい日ざし、そよ風と花の匂い、子どもたちの笑い声。家族のたいせつな時間がきらきらといっぱいにつまっていて、私まで少女にもどってしまったような、うれしくてなつかしくてせつない気もちになりました。ちょうど、つい先日まで入りびたっていた実家のイングリッシュ・ガーデンを思い出して。

本好きの5歳の娘が図書館で見つけ、出逢うことができました。
ヘンリー・テリー。すてきなすてきなお父さん。
この本にひと目で惹かれた娘はひょっとして、本そのものの放つ、つつみ込むような愛とまなざしを感じとったのでしょうか・・・。

エミリー、アニー、ハリーへ
いつの日か私も、野の花と同じように、神さまが造られたこのすばらしい地球上から消え去るときがくる。そんな日がきたら、父親への興味と愛情を胸に、このアルバムを開いてくれればうれしい。

(原題『A VICTORIAN FLOWER ALBUM』)
Author: ことり
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『物語のなかとそと―江國香織散文集』 江國 香織

「本を読むというのはそこにでかけて行くこと」
──小説家は、どのように小説を読んでいるのか、また、著者にとって「書く」とは、どのような経験なのか?
すべて初収録、過去15年以上にわたって書かれた掌編小説とエッセイから、 江國香織の「秘密」がひもとかれる贅沢な一冊。


サイン本です↓
Author: ことり
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『戀愛譚―東郷青児文筆選集』 東郷 青児

画家・東郷青児の知られざる“文筆”世界。少女の生態や恋愛をテーマに、東郷の“ことば”がもっとも魅力的に綴られた詩的で夢幻的な文筆作品を精選。単行本未収録原稿を含む決定版、全38篇。

東郷青児さんの絵が好きです。
蒼く淡いかりそめの闇。長いまつ毛に縁どられた瞳、冷たくなめらかな白い肌。
あの夢のように蒼白く華奢な乙女たちを描きつづけた男の目をとおして、紡がれてゆく甘やかな恋愛小説群です。
薔薇や菫のかぐわしい色香のゆらめき・・・あきれるほどロマンティックで、気障でスノッブ。東京や巴里のしゃれた街角にたたずむ美しい娼婦や少女の面影が、虚実を抱きこみ、絵画の乙女たち(への目線)につながってゆくようです。

女という生きものへの幻想とあこがれ。万華鏡のような陶酔。
東郷青児という人は、絵でも文でも――それはおそらく人となりも、ということかしら――そのイメージがほとんどブレることがありません。見事なまでに。
東郷青児―蒼の詩 永遠の乙女たち』でも一部抜粋でいくつかの文章が紹介されていますが、こちらでは文章のみをまとまったかたちで読むことができます。彼の‘世界観’を愛する方に。
Author: ことり
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『はるのワンピースをつくりに』 石井 睦美、(絵)布川 愛子

かぜが はこんできた すみれの かおりで、
さきちゃんは めを さましました。

「はるが きたから、はるのワンピースが ほしくなったの」
さきちゃんは仕立て屋のミコさんをたずねます。
春のはなは? 春のいろは? 春のおとは? さきちゃんの‘春’のイメージをミコさんはひとつひとつたしかめてゆきました。
とりどりの裁縫道具、野の花いろの紅茶、そよ風がゆらすカーテン・・・心うきたつような春の小部屋で採寸をしてもらうと、さきちゃんはすっかりお姉さんになったきぶん。はかなげなレースの衿や、たっぷりしたポケット、ころんと音をたてそうなボタンたちがワンピースを可憐に彩ります。
ふわふわきらきら、うふふふふ。柔らかな春そのものをまとい、花かごをかかえて、さきちゃんはどこへむかうのでしょう? こまごまと愛らしい春小物がちりばめられた甘い香りのあふれる絵本。


布川愛子さんの「はるのワンピース」展に出かけました。
サイン本です↓ 娘あて。 <2018年3月追記>
Author: ことり
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『江國香織童話集』 江國 香織

評価:
江國 香織
理論社
¥ 1,728
(2018-02-01)

つめたいよるに』、『九月の庭』(『江國香織 とっておき作品集』所収)、『綿菓子』(『こうばしい日々』所収)、『十月のルネッサンス』、『あかるい箱』、『七月の卵』、『モンテロッソのピンクの壁』、『温かなお皿』、『夕闇の川のざくろ』、『があこちゃん』(『江國香織 とっておき作品集』所収)、『おさんぽ』。

ひとつひとつが、青くみずみずしい果実みたい。
あま酸っぱくてちいさくて、はてしなくて完ぺきで・・・。
そのくせゆめのように淡いので、大切に大切に、このまま抱いて眠りたい。
江國さんが20代の頃につむぎ出した物語は、かつてたしかに流れていた‘時間’に再会する感覚がいつもして、ちくんとしたり、儚くはるかな気もちになったり。つんと色っぽいコロンの香りとか、ゼリーみたいな部屋の空気とか、そういう記憶がふいによみがえって、本にはさんだまま忘れ去っていたお花をみつけるようなそんな気分になるのです。色も香りもちっとも褪せていないふしぎの花びらたち――それらはなつかしいのに新しく、なんどでもなんどでも、やさしく私の心をふるわせるのです。


江國香織さんのトーク&朗読演奏会に出かけました。
サイン本です↓ <2018年6月追記>  
Author: ことり
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